ドイツ西部の街デュイスブルクで9月下旬、中国大使館が主催する「中国文化祭」が開かれた。だが華やかな会場は、一人の女性の叫びで一変した。
「習近平、私の左肺を返せ!」突然の声に、その場にいた観客は一斉に凍りついた。
声を上げたのは、中国から逃れてきた張琦(ちょう・き)さん。彼女は母親の杜廷香(と・ていこう)さんと共に会場に立ち、自らが臓器を奪われた体験を告発するポスターを掲げながら、切実な思いを訴えた。
張琦さんの証言によれば、彼女は中国の鄭州大学第一附属病院で崔廣暉(さい・こうき)医師によって左肺をまるごと摘出された。その後20回以上にわたって手術を受け、胸には大きな穴が残ったままだという。そのため横になって眠ることもできず、普通の食事すら難しい生活を強いられている。さらに「他人の臓器を買って移植しろ」とまで強要されたと語った。

親子は繰り返し中国当局に救済を求めたが、返ってきたのは徹底的な弾圧だった。
現場に駆け付けた在独の民主活動家・王守峰(おう・しゅうほう)氏は、「中国では毎年数十万件もの強制臓器摘出が行われている。張琦は奇跡的に生き延びただけだ」と語り、その深刻さを訴えた。

さらに米ニューヨークに拠点を置くNGO「追査国際(WOIPFG)」の汪志遠(おう・しえん)主席は、「中共は移植医療を殺人ビジネスに変えた。狙われているのは法輪功学習者だけでなく、社会全体だ」と警告。そのうえで「これは中共が主導する国民殺害の戦争だ。国家ぐるみの超限戦であり、集団虐殺犯罪だ。その脅威は社会全体に広がり、誰一人安全ではない」と断言した。

張琦が名指しした鄭州大学第一附属病院は、すでに「追査国際」による追跡調査のブラックリストに登録されている。デュイスブルクでの叫びは、中国文化を称える場を抗議の舞台へと変え、中国共産党の隠された闇を世界に突きつける象徴的な瞬間となった。

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