中国の観光業から、かつての「夏の繁忙期」が消えつつある。
シルクロード遺跡で知られる甘粛省・敦煌(とんこう)、夜景と火鍋の街として人気の四川・重慶(じゅうけい)、避暑リゾートの山東省・威海(いはい)、秘境の旅先として注目されてきた雲南・香格里拉(シャングリラ)――いずれも「夏休みは観光客であふれる名所」だった。しかし今年は宿泊料を半額にしても空室が目立つ。
業界関係者は「今年の夏は、もはや繁忙期というものが存在しない」と嘆く。しかし、なにも観光客がいなくなったわけではない。ただその多くが「貧乏旅行」に切り替え、車中泊やテント泊などで費用を徹底的に削っているのだという。
さらに追い打ちをかけているのが、政府の「禁酒令」や大企業の「出張制限」。宴会も会議も消え、高級ホテルですら稼働率が急落した。ついには「五つ星品質だが屋台価格」と銘打ち、料理を路上で売り出す星付きホテルまで相次いで登場している。
夏の稼ぎ時が幻となった今、中国のホテル業界は「メンツより生存」を合言葉に、必死のあがきを続けている。

ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。