中国人系米海軍水兵Jinchao Weiが中国共産党の情報員に機密を提供していたとして、米連邦裁判所の陪審は有罪評決を下した。被告は6件の罪で有罪となり、判決は12月1日に言い渡される予定だ。
司法省によると、5日間の審理と1日の評議を経て、陪審団はWei被告に対しスパイ共謀、スパイ行為、防衛関連技術データの不法輸出および輸出共謀など6件の罪で有罪と認定した。最高刑は終身刑である。ただし、Weiに対する入籍詐欺の罪状は無罪とされた。判決は12月1日午前9時に言い渡される予定である。
アダム・ゴードン検察官は、「被告の行為はアメリカ軍として与えられた信頼を裏切るものだ。金銭を得るために中華人民共和国政府に軍事機密を提供し、水兵仲間や国、同盟国の安全を危険にさらした今回の評決は司法省が裏切りを決して許さないという明確なメッセージだ」と述べた。
事件の背景 中共のスパイとして活動
2023年、魏はカリフォルニア州サンディエゴ海軍基地に駐留する現役海軍水兵であり、強襲揚陸艦「エセックス号(USS Essex)」に勤務していた。機関士補として、セキュリティクリアランスを持ち、艦船の兵装、推進装置、造水システムに関する機密情報にアクセスできた。しかし、母親の勧めにより中国共産党(中共)の情報提供者となり、1.2万ドル以上の報酬で海軍機密を中共情報機関の関係者に売却した。
2023年8月3日、Weiは逮捕され、中共との取引の詳細が公表された。Weiはエセックス号の写真や動画、複数の海軍艦艇の位置情報、防衛装備の構成を中共当局者に送信していた。さらに、サンディエゴ海軍基地や所属艦艇の問題点を開示し、米海軍の内部システムから「エセックス号」などの水上艦に関する数千ページの技術・戦闘情報を盗み、送信していた。
中共情報当局者との接触
証拠によると、Weiは2022年2月14日、ソーシャルメディアを通じて中共政府の情報当局者に勧誘された。当初、相手は中国船舶工業集団公司の国営企業従業員を装い、海軍愛好者と名乗ったが、Weiは早い段階で相手が中共情報当局者だと疑い、その動機が不純であると認識していた。
2022年2月22日、Weiは海軍の同僚に、「中国情報機関に標的にされている」と伝え、相手が艦艇の修理スケジュールに強い関心を示し、「毎日埠頭を歩いて停泊中の艦艇を観察する」よう求め、1回500ドルの報酬を提示されたと明かした。Weiは「明らかにスパイ活動だ」と認めつつ、友人の助言(連絡先の削除)を無視し、翌日より安全とされる暗号化通信アプリを使用し、中共当局者と連携を開始した。
機密情報の漏洩と隠蔽工作
2022年3月から2023年8月にかけて、Weiは中共当局者の要求に応じ、「エセックス号」の写真・動画、艦艇の位置情報、防衛装備の詳細を提供した。さらに、海軍の内部システムから数千ページの技術資料や数十冊の機密マニュアルを盗み、送信した。これらのマニュアルには、動力、操舵、武器制御、航空機や甲板エレベーター、損害制御に関する詳細が記載されており、「厳禁外洩」の警告が明記されていた。
Weiは中共当局者と頻繁に連絡を取り、複数の暗号化通信アプリや別アカウントを使用して報酬を受け取り、会話記録やアカウントを削除するなど、接触を隠蔽していた。Weiは72時間で自動削除される暗号化通信ツールや、提供された新デバイスを使用し、18か月間で1万2千ドル以上の報酬を得た。
司法省によると、被告は自身の行為が違法であることを認識していた。Weiは海軍の対テロ訓練を受け、外国政府の勧誘手法を識別する方法を学んでいた。また、別の海軍兵士がスパイ罪で有罪判決を受けた事例や司法省の発表を調査していた。さらに、報酬受領の手書き領収書や中共当局者との会話記録、当局者の写真や身分証明書が証拠として提出された。
2023年8月3日、Weiは逮捕され、FBIの尋問を受けた際、「私は完璧にやった」と述べ、「機密でないファイルを共有したが、それはすべきではなかった」と認めた。
罪状と刑罰
連邦陪審団は2025年8月20日、Wei被告に対し以下の6項目の罪状を有罪と認定した。
スパイ活動の共謀(最高刑終身刑と25万ドル罰金) – 有罪
スパイ罪(最高刑終身刑と25万ドル罰金) – 有罪
無許可の国防物品輸出の共謀(最高刑20年監禁と100万ドル罰金) – 有罪
無許可の国防物品輸出(最高刑20年監禁と100万ドル罰金) – 有罪
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