【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

トランプ氏「関税は米国に数兆ドルの収益」 米中関税休戦さらに延長

2025/08/18
更新: 2025/08/18

米国が最新に発表したインフレ報告は総じて穏やかな内容となり、7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で3.0%上昇し、生産者物価指数(PPI)は過去3年で最大の伸びを示し、市場関係者に安心感を与えている。

トランプ大統領は、消費者が関税を負担することはなく、関税は米国に数兆ドルの収益をもたらしたと強調した。さらにトランプ氏は米中間での関税措置に関する休戦期間を90日延長する大統領令にも署名した。

専門家は、貿易戦争は多くの要素を含んでおり、両国が詳細を詰めるにはさらなる時間が必要だと指摘している。アナリストは、両国の進む方向性の乖離はもはや調整が困難であり、経済のデカップリングは歴史的必然となりつつあると評している。

最近、米労働省が発表した最新のインフレ報告は全体として穏やかな内容であり、投資家の安心感を誘った。7月の消費者物価指数(CPI)は前月比で0.2%、前年同月比では3.0%の上昇となった。生産者物価指数(PPI)は0.9%上昇し、2022年6月以来の最高水準となり、予想の0.2%を大きく上回った。

生産者物価指数の上昇率が消費者物価指数よりも高いことは、企業側がまず関税によるコストを自社で吸収していることを示していると考えられる。

米労働統計局長E・J・アントニー氏は次のように語った。
「今年前半の6か月間、政府調達が増加していないことが明らかになった。これは非常に良いニュースだ。経済活動の拡大が政府ではなく民間の生産部門から生じていることを示しており、その原動力は消費者支出の増加と企業による投資の拡大にある」

トランプ氏は、SNS「トゥルース・ソーシャル」で「関税はインフレやその他の問題を引き起こしていない」と投稿した。

また、ゴールドマン・サックスのエコノミストによる関税の影響予測は不正確だと名指ししたうえで、関税が米国にもたらした収益は数兆ドルにのぼり、消費者がその負担をすることはないと強調した。

8月11日の夕方、米中関税が発動される数時間前に、トランプ大統領はその謎を明らかにし、次のように述べた。「私は今しがた大統領令に署名し、対中関税の停止期限をさらに90日延長した。協定の他のすべての内容はそのままだ」

つまり、米国の対中関税は今後90日間30%に維持され、145%に引き上げられることはなく、中国の対米関税も10%に据え置かれ、125%に戻ることはない。同時に、双方はレアアースや一部技術の輸出規制を緩和することにも合意した。

ホワイトハウスの声明では、米中双方が引き続き協議を行い、米中経済関係における相互的な貿易の不均衡や、それに伴って生じる国家の経済安全保障上の問題を解決することを目的としていると述べた。

米国サウスカロライナ大学エイケンビジネススクール教授の謝田氏は次のように述べている。

「これは、米中貿易戦争が非常に複雑で錯綜していることを示している。しかも、米中の間には貿易や関税だけでなく、ほかにも多くの問題が絡んでいる。例えば、フェンタニル問題や人権問題、国際安全保障や地政学的安全の問題、中共がロシア・北朝鮮・イランなどの国々を支持している問題、高度技術の移転に関する問題などだ」

関税の延長という結果は市場予想と一致した。8月12日、中国株は上昇し、欧州の主要株価指数も一斉に上昇して取引を始めた。分析によれば、これは米中関税休戦によって、ヨーロッパにおける「中共が米国以外の市場に安価な商品を投げ売りするのではないか」という懸念が緩和したことを示しているとされている。

今後の米中貿易戦争の行方について、分析では「米中はちょうど二本の平行線のような関係にあり、経済のデカップリングは歴史的必然である」とされている。

米セントトーマス大学国際研究講座教授の葉耀元氏は次のように述べている。

「米国の対中共の要求は非常に明確である。中共は市場を開放し、米国企業の進出を認めることだ。しかし、この二つの要求を中共が受け入れることは事実上不可能だ。一方で、中共の立場からすれば、米国市場により早く参入する、あるいは少なくとも2018年以前の米中貿易の体制を維持したいと考えている。しかし、これは米国の視点からすれば実現不可能である。結果として、両者は最終的に完全に異なる道を進むこととなり、米中間の経済的デカップリングは歴史的必然となるだろう」

8月15日、トランプ氏は大統領専用機「エアフォースワン」の中で、
「最初は低い税率を設定する。そうすることで、彼らには米国内で生産する機会が生まれる。しかし、一定期間が経過すると税率は非常に高くなる。もし彼らが米国内で生産しない場合は、非常に高い関税を支払わなければならない」と語り、今後2週間以内に鉄鋼および半導体チップの輸入に対する関税を発表すると述べた。

今年2月、トランプ氏は鉄鋼とアルミの関税を25%に引き上げ、続く5月には50%に倍増させ、米国の製造業を刺激した。現在、これらの金属に対する関税が再び引き上げられるかどうかは不明である。