ホワイトハウスは、日本から米国に輸入される商品に課されている重複する関税を撤廃すると、東京の貿易交渉官が明らかにした。
ワシントンでの高官レベルの協議を経て、米政権の高官らは、大統領令を改正し、7月に合意された15%の関税が、すでにより高い関税率が適用されている日本製品に対しては課されないようにすることで一致した。
赤澤亮成氏は、スコット・ベッセント財務長官とハワード・ラトニック商務長官が、7月31日の指令を修正することを約束したと発表した。この指令には、欧州連合(EU)向けには「二重課税を禁止する」条項が盛り込まれていたが、日本については除外されていた。
また、米当局は、過去に徴収した過剰な輸入関税についても返金を行う予定だ。
首都ワシントンでの会談に先立ち、日本の石破茂首相は、大統領令に盛り込まれた「二重課税禁止」規定について懸念を示していた。
石破首相は、8月6日に記者団に対し、「米国との間で食い違いはないことを確認した。日本は米国に迅速な行政命令の修正を強く求めている」と述べた。
一方、赤澤氏は、ベッセント長官とラトニック長官が、トランプ大統領が別の大統領令を発し、日本車への自動車関税を27.5%から15%に引き下げることを確認したと述べた。
この調整は、先月両国が締結した二国間貿易協定に沿ったものだ。
第1四半期の前倒し輸出
関税の明確化と好調な企業決算を背景に、日経平均株価は761円(1.85%)高となり、TOPIX(東証株価指数)も初めて3000を突破した。
ただ強い企業業績が今後も続くかは不透明であり、米国の関税発動が影響する可能性がある。INGのシニアエコノミスト、カン・ミンジュ氏は、日本の輸出が上期に急増したことについて、「関税の痛みから利益率を守ることにはつながっていない」と述べている。
カン氏は8月1日のレポートでこう指摘した。「第1四半期に前倒しの輸出が急増したが、第2四半期には大きな調整局面となった。価格を引き下げることで関税の影響を一部吸収できたかもしれないが、それは利益率を犠牲にすることになる」
6月には、日本の自動車メーカーが米国向け輸出価格を約20%引き下げ、これは過去10年で最も急激な下落となった。この背景には、世界最大の経済圏で競争力と市場シェアを維持するための業界全体の取り組みがある。
トヨタ自動車は、米国に輸入される自動車への大統領の関税により、利益が減少する見通しを警告。世界最大の販売台数を誇る同社は、通期の営業利益予想を16%引き下げた。
「市場環境がどうなるかを予測するのは率直に言って非常に難しい」と、トヨタの財務責任者・東孝憲氏は8月7日の説明会で述べた。
外国企業が関税コストを吸収するために価格を下げ、利益率を犠牲にしていることは、今年の米国の輸入価格の低さにつながっている可能性がある。また、課税前の在庫積み増し、代替品の利用、免除や遅延なども、輸入価格が上昇していない要因となっている可能性もある。
先月の輸入物価は0.1%上昇にとどまり、7月の数値は横ばいとの市場予想が出ている。
一方、国内では利益率が堅調に推移しており、ラファー・テングラー・インベストメンツのCEO兼CIOのナンシー・テングラー氏は以下のように述べている。
「企業の声を聞く限り、AIが従業員の生産性を高めている。関税があっても利益率は維持され、むしろ拡大している。我々はまだ始まったばかりだと考えている」
FactSet Insightsによると、S&P500構成企業の81%が第2四半期の好決算を報告した。米国株式市場は、テクノロジー株比率の高いナスダック総合指数が1%上昇して取引週を終えた。
7月の合意
7月、米国と日本は、両国間で取引されるほとんどの品目に15%の相互関税を課す経済協定に合意した。東京は米国経済に5500億ドルを投資し、市場を米国製品(自動車や農産物を含む)に開放する。
米政権は、この動きによって日米間の貿易を均衡させ、2024年に約700億ドルだった米国の対日貿易赤字を減らしたい考えだ。
トランプ大統領は、自身のSNS「Truth Social」に「これにより数十万の雇用が創出される」と投稿し、この取引を称賛し「これまでにないことだ」とSNSで述べた。
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