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激変する中国 「忠誠」も通じない、中国のネット検閲

愛国投稿なのに「削除」? 天安門事件のワンカットが吹き飛ばした200万人アカウント=中国【動画あり】

2025/08/09
更新: 2025/08/09

1989年の天安門事件を象徴する「タンクマン(戦車男)」のシーンが含まれた映像を誤って転載した中国の愛国系インフルエンサーの中国SNSウェイボー(微博)アカウントが、永久凍結されたことがわかった。

問題となったのは、かつて「上帝之鷹」の名で知られ、現在は「忠貞不渝艾吉奧」と名乗っていた影響力の大きいインフルエンサーである。

彼は7月31日、日本・東京で中国人男性2人が襲撃されたとするニュース映像(セルフメディア制作とみられる)を転載。その中に一瞬だけ挿入されていた「タンクマン」のシーンに気づかず、そのまま投稿してしまった。

この1カットが中国当局の禁忌に触れたことで、アカウントは即座に削除され、ページには「ここには何もありません」と表示されるだけとなった。皮肉にもこの投稿は、ナショナリズムを利用して再生数や支持を集めようとした「愛国演出」の一環として拡散されたものだった。

 

(「タンクマン(戦車男)」のシーンが含まれていた問題の映像)

 

実は近年、日本のメディアやネットクリエイターの間では、海外からの無断転載や中国メディアによる盗用を防ぐため、動画内にあえて「天安門事件」など中国で禁止されているシーンを「防犯コード」として挿入する手法が広がっている。こうした仕掛けは、ゲーム画面や日本国内の飲食店の装飾などにも応用され、小粉紅(愛国過激派)による嫌がらせ対策としても機能している。

 

反共ポスターを貼って中国人迷惑インフルエンサーを撃退した、東中野駅(西口)にある中華料理店「西太后」。 (SNSより、大紀元合成)

 

「忠貞不渝艾吉奧」は、中国共産党体制寄りの「ポジティブ発信(正能量)」で知られた代表的な愛国系インフルエンサーで、2018年には「中国青年好網民」にも選ばれていた。政権賛美や異論者の通報で200万人超のフォロワーを獲得し、広告収入や支援で利益を得ていたが、今回の「誤爆」で自らが通報される立場に転落した。

事件は中国国内でも大きな注目を集め、中国のSNSでは「殉職」「自爆」といった皮肉や、「悪の報い」とする冷ややかな投稿が相次いだ。中には「8月の始まりにふさわしい朗報だ」と祝杯をあげる者まで現れた。

愛国を装って名を上げた者が、たった1秒の「禁忌」で完全抹消される――この一件は、体制迎合型インフルエンサーの脆さを示す象徴だ。忠誠すら盾にはならず、「愛国」を叫ぶ者でさえ、次に粛清されるのは自分かもしれない。そんな不安定な時代が、中国のネット空間では今も続いている。

 

イメージ画像。中国のネット上で検閲によって削除された投稿に表示されるメッセージ。(「コンテンツに関連法規違反の疑い」)。(スクリーンショット)

 



【写真特集】「反共のメッカ」中華料理・西太后 その後は「落ち着きを取り戻しました」

いまや「反・中共のメッカ」となった日本人経営の中華料理店「西太后」。「魔除け札」を貼ったことで、迷惑な中国人は来なくなった。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!