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激変する中国 「高収入」誘惑の裏に潜む罠

若者が消える夏 詐欺の温床へ しかし捜索サイトは閉鎖される=中国

2025/08/08
更新: 2025/08/08

「子どもたちはどこへ消えたのか。そして誰がその帰り道を閉ざしたのか」――ある母親の悲痛な問い

この夏、中国各地で10代から20代前半の若者が次々と行方不明になっている。7月だけでもSNS上には138件以上の失踪情報が投稿され、その多くが学生だった。「高収入」「海外就職」「無料旅行」などの甘い誘い文句に引き寄せられ、最後の位置情報が雲南省(ミャンマーとの国境)だったという投稿も目立つ。最年少の失踪者はわずか14歳だった。

 



「無料タイ旅行」の行き先はミャンマーの「詐欺団地」だった

「タダより高いものはない」──SNSで拡散される“無料旅行”や“高給求人”に釣られ、人生を破壊された人々の叫びが、東南アジアから届いている。

 

経済的困窮や就職難に直面する若者たちは、犯行グループにとって格好の標的となっており、SNSや求人アプリを通じて巧みに狙われている。生還者の証言によれば、彼らはミャンマーやカンボジアなどにある「詐欺園区」と呼ばれる無法地帯に売られ、パスポートや携帯を没収された上で詐欺業務を強いられていた。中には、家族に対して身代金を要求されたケースもある。

 

2025年7月にSNS上に投稿された、若者の失踪に関する情報提供を呼びかける投稿。(スクリーンショット)

 

救出された例もわずかに存在する。安徽省の高校生・胡一嘯(こ・いっしょう)さんは南京から雲南へ向かった後に消息を絶ったが、父親の必死の捜索により7月25日に帰国を果たした。また、未成年と判断され解放された大学生・彭宇軒(ほう・うけん)さんも生還した。一方で、湖北・山東・貴州・広東などでは今も多数の若者が行方不明のままで、公的な捜索体制は脆弱。家族は手がかりもないまま、自力での捜索を強いられている。

 

行方不明から約2週間後に無事発見された陝西省漢中市の19歳の大学受験生・彭宇軒(ほう・うけん)。発見時には頭髪が刈られ、坊主頭になっていた。(動画よりスクリーンショット)

 

さらに、失踪者家族の最後の頼みだった「中国尋親網」が7月中旬に突然閉鎖された。25年間、失踪情報を共有し再会の場となってきたこのサイトが、当局の説明もないまま姿を消し、家族たちは希望の光を失った。

 

突然閉鎖された「中国尋親網」。(左)は閉鎖前、多数の尋ね人情報が表示されていた画面。(右)は閉鎖後、アクセス不能となった画面の様子。(スクリーンショット)

 

若者の大量失踪という異常事態に、高校生・胡鑫宇(こ・きんう)さん失踪事件の不可解な経緯を引き合いに、臓器収奪との関係を疑う声も高まりつつある。「子どもたちはどこへ消えたのか。そして誰がその帰り道を閉ざしたのか」――ある母親の悲痛な問いが、沈黙を続ける国家に突きつけられている。

 



ミャンマー詐欺拠点に日本人2人監禁か 日本政府がタイ当局に救出要請

ミャンマーの国境地帯にある犯罪組織の拠点に、日本人男性2人が監禁されている可能性が高いことが明らかになった。

 

2025年7月にSNS上に投稿された、若者の失踪に関する情報提供を呼びかける投稿。(スクリーンショット)
2025年7月にSNS上に投稿された、若者の失踪に関する情報提供を呼びかける投稿。(スクリーンショット)
2025年7月にSNS上に投稿された、若者の失踪に関する情報提供を呼びかける投稿。(スクリーンショット)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!