甘粛省天水(てんすい)市の私立幼稚園で、園児247人と教職員28人に、血中鉛濃度の基準値超過が確認された集団鉛中毒事件。
7月20日、省政府は「園側が工業用着色料を食品に混入した」とする最終報告を発表し、周辺工場の排出を疑う世論を一蹴し、関係者に責任を押しつけ、事件の幕引きを図った。
その発表と同時に、当局が被害児童の保護者らに「口封じ」の協議書への署名を強要した。反発した一部保護者が逮捕・連行され、抗議は一気に激化した。

当局の説明に不信を募らせた保護者たちは、一斉に抗議の声を上げた。
保護者たちは、市政府庁舎や幼稚園前に集結し、真相究明と補償などを求めて抗議を開始したが、当局は武装警察を出動させ、暴力的に排除を図り、一部の保護者を逮捕・連行した。憤った市民らは、警察車両を取り囲み「釈放しろ」と叫び、現場は騒然となった。

やがて抗議は、市内の主要道路「成紀大道東路」を封鎖する事態に発展し、保護者や市民は、警察による暴力的鎮圧に激しく抗議した。SNSには、現場の映像が次々と投稿され、当局の対応に対する共感と怒りの声が全国に広がった。
一方、事件発覚後には、天水市や甘粛省内の医療機関に対し、園児の血液検査結果を改ざんするよう当局が指示していたことや、他省で再検査や治療を受けた保護者にも「口封じ」の圧力をかけていたことが判明し、世論の不信と反発はさらに高まった。

鉛中毒が成長期の幼児に深刻な健康被害、特に知能への影響を及ぼすことが広く知られているにもかかわらず、当局は医療費減免を打ち出しただけで、被害者への賠償には一切応じていない。
さらに、当局が主張する「着色料原因説」にも根強い疑念が残った。独立した第三者による調査は認められず、過去にも同市で起きた鉛中毒事件が揉み消された前例があることから、市民の不信が頂点に達している。省政府の調査結果に対する異論や批判はネット上でも次々と削除され、言論統制が続く中、それでも真相を求めて声を上げる保護者たち。
隠蔽と弾圧で封じ込められた怒りは、やがて大きなうねりとなって当局に跳ね返ることになるだろう。
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