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豪州史上最大の軍事演習  初のハイマース実弾発射

2025/07/16
更新: 2025/07/16

7月14日、オーストラリア陸軍は、米国から購入した「ハイマース」(HIMARS)ロケット砲の実弾発射を初めて実施した。発射が行われたのはクイーンズランド州ショールウォーター湾で、ロケット砲の最大射程は400キロメートルに達する。この兵器は、ウクライナ戦場でも非常に高い評価を受けている精密打撃システムだ。

オーストラリア陸軍のニック・ウィルソン准将は、今回の実弾演習には画期的な意義があり、オーストラリア陸軍が新たに導入した「ハイマース」長距離ロケット砲を初めて実弾で運用したことになると述べた。

このシステムは他の兵器プラットフォームと組み合わせて運用され、オーストラリアがインド太平洋地域において強固な防衛能力を構築し、地域の安全と安定をより確実に保障する助けになるとしている。

今回の演習は「タリスマン・セイバー」(Talisman Sabre)と名付けられ、オーストラリア史上最大規模となった。演習の範囲は、オーストラリア西部インド洋のクリスマス島から、数千キロにわたる東部のコーラル・シーまで広がり、今回初めてパプアニューギニアにも拡大された。

オーストラリア国防省の資料によると、今年は米国、日本、韓国、フランス、イギリス、インドなど19か国から3万5千人を超える兵士が参加しており、マレーシアとベトナムもオブザーバーとして出席している。

米太平洋陸軍副司令官のジョエル・ヴォウェル氏は、「タリスマン・サーベル」演習の主な目的は抑止力の維持と戦争の回避であり、米国はインド太平洋地域の同盟国と緊密に協力していく必要があると強調した。

オーストラリア防衛産業大臣のパット・コンロイ氏は、2017年以来、中共が偵察船を派遣してオーストラリア周辺でこうした軍事演習を監視してきたことを明かした。そのうえで「もし今回、偵察に来なかったとすれば、それはむしろ不自然なことだ。我々は演習の内容をその状況に応じて調整する」と述べた。

軍事演習の前日には、オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相が中国への6日間の訪問を開始した。首相は、中共による演習監視の問題については、習近平との会談の議題には含まれないと説明した。

オーストラリア政府は今後10年間で740億豪ドルを投資し、ハイマースを含む先進的なミサイルの導入を継続するとともに、オーストラリア独自のミサイル産業の構築を進め、インド太平洋地域における戦略的な防衛能力を総合的に強化していく計画だ。