中国経済の失速が高級ホテル業界にも影を落としている。河南省鄭州市にある五つ星ホテル「永和鉑爵国際酒店」が、ホテル前の歩道で屋台を開き、豚足やピーナッツなどの食品を販売していたことがSNSで話題となり、7月6日のSNSでトレンド入りした。
中国メディアが配信した動画によると、同ホテルは午後5時に屋台を開店し、37分後には商品が完売。シェフ自らが通行人に声をかけて接客し、1パック15元(約300円)のピーナッツや、1個48元(約千円)の豚足が次々と売れていった。来店した市民の一人は「ちょっと見て高ければ即帰ろうと思っていたが、意外と安くて驚いた」と話していた。
同ホテルの責任者は「五つ星ホテルが屋台を出して格が落ちた、という声もあるが、今は生き残ることが最優先。外からどう見られるかを気にする余裕などない」と語る。
SNSには「もはや、どの業界も余裕はない」「生存競争がここまで来た」といった声が並び、経済失速が中国全土に広がる中、企業や店舗が生き延びるために手段を選ばなくなっている実態がにじみ出た。
かつては贅沢と格式を象徴していた五つ星ホテルが、今は屋台という「生存の場」へと身を投じている。路上に立つその姿は、もはや一業界の話ではなく、中国経済そのものの危機を映し出している。
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