中国では雨季のたびに、都市が水没するのがもはや常態となった。しかし、それは本当に自然災害だけなのか?
現地をよく知る元裁判官はこう断言する「これは天災ではない。構造的な腐敗が生んだ必然の人災だ」
(被災地の状況、中国、貴州省)
「洪水の街」
6月20日以降、持続する豪雨の影響で、中国・貴州省内の複数の河川が急激に増水し、危険水位を次々に突破した。すでに8万人以上が家を捨てて避難を余儀なくされていた。
6月24日の大洪水からわずか4日後の28日、榕江県と隣接する雷山(らいざん)県は再び濁流に呑まれた。上流のダムが放流される中、洪水はわずか7分で街を完全に水没させ、住民たちは清掃作業の手を止め、泥水の中を必死に逃げ惑った。
SNSに拡散された映像には、ベランダから救いを求める女性、道路を漂う遺体、崩壊する住宅の様子が克明に記録され、政府は公式に死者6人と発表しているが、地元住民は「真の死者数はそんなものではない」と声を荒げた。

29日、洪水が引いた榕江県の街は、見るも無残な姿だった。地面には厚い泥が積もり、家具や車、子どもの玩具までが散乱し、特に低地の住民は泥に埋もれた家財を素手で掘り起こすしかなく、一部の地域では電気も水も遮断されたままなのだ。
「食べるものもなく、助けも来ない」SNSにはそうした住民の叫びが溢れてた。

中国当局は「異常気象」や「30年に一度の大洪水」と繰り返している。しかし、洪水の悲劇の背後には「人災」がある──そう指摘する声は以前から絶えなかった。今回、洪水直後にエポックタイムズの取材に応じた被災地・貴州出身の元裁判官・林小龍氏も、その一人だ。
(被災地の状況、中国、貴州省)
「洪水の真実」
現在は米国に住む林小龍(りん・しょうりゅう)氏によると、「貴州の洪水も含め、中国の洪水はどこの都市にも人災がある」と断言する。
「まともな排水システムがあれば、たとえ豪雨でも街が水没することはない。問題の核心は、官僚たちが道路や公園のような表向きのインフラのような見える場所にばかり金を投入し、見えない場所である下水道や排水設備には金をかけない構造にある」と林氏は指摘した。
林氏によれば、地方政府の公共工事には必ず賄賂が絡むというのだ。工事の受注にはまず高額のワイロが必要で、その結果、工事費が足りなくなり、手抜き工事が横行。検査もまた形式的で、賄賂を受け取った検査官は、事前に用意された「合格基準を満たす一部の箇所」だけを確認するという。

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