6月27日、アメリカ連邦最高裁判所は6件の重大判決を言い渡した。そのうち、市民権(国籍)付与の「出生地主義」と親の権利に関する2件で、アメリカ社会全体に激震が走った。これにより、トランプ政権は司法闘争において決定的な勝利を収めたばかりでなく、アメリカ、さらには世界の今後の構図を塗り替えたとの評価もある。一部では、「イラン核施設への米軍爆撃よりも、今回の判決のほうが歴史的意義は大きい」と断言する声さえある。
6件の判決のうち、特に重要なのは出生地主義と親の権利に関する2件であり、アメリカの進路と将来の国民像を決定づける内容となっている。
地方裁判所の権限制限とトランプ政権の勝利
まず注目すべきは、市民権の出生地主義に関する判決である。具体的には、「連邦地裁による出生地主義関連の全国禁止命令の適用範囲」が争点となった。この裁判の発端は、トランプ大統領が就任初日に署名した大統領令にある。大統領令の目的は、「出生地主義」の慣習に終止符を打つことであった。すなわち、親の法的地位にかかわらず、アメリカで出生した者に自動的に市民権を与えるという、合衆国憲法第14修正条項に挑戦する内容である。
大統領令の発令後、全米22州および移民権益団体や個人が直ちに政権を相手取り提訴した。これに応じて、3つの州の連邦裁判所の判事が「全国禁止命令」を出し、大統領令の効力を全米で無効化した。このように、州レベルの判事が大統領の全国政策を事実上停止させる事態が生じた。
この判断に対し、トランプ側は最高裁に上訴した。そして6月27日、9人の判事による審理を経て、6対3の賛成多数で最終判決が下された。最高裁は、地方判事は全国的効力を持つ禁止命令を出す権限を持たないと明言した。つまり、今後は州レベルの判事が大統領の全国政策に介入することは許されなくなる。この決定は、トランプ政権にとって就任以来、最大の司法的勝利である。あるネットユーザーの言葉を借りれば、「この判決はアメリカにおける司法と行政の権限の境界を再構築した」
大統領就任後、トランプ大統領は数多くの大統領令を発したが、知られざる事実として、わずか半年間で39件の全国政策が異なる州の判事によって停止されていた。アメリカ40州には、679人もの連邦地方判事が存在し、その誰か一人が命令を下すことで、大統領の政策を機能不全に陥らせる体制が成立していたのである。
一説では、左派勢力がこの地方判事制度を活用して「トランプ封じ」を図り、政権のあらゆる動きを封じ込めようとしていたとされる。こうした構図が常識を逸脱していたにもかかわらず、長年放置されてきた。今回の最高裁判決がなければ、トランプ政権の施策は左派による「人海戦術」によって次々と妨害され、「オリンピック」が「パラリンピック」になっていたという表現すら現実味を帯びてくる。
実際に停止された政策には、「トランスジェンダーの米軍服役禁止」や「米国国際開発庁(USAID)の予算大幅削減」など、政権の根幹に関わるものが多数含まれている。
では、今回の判決に反対票を投じた3人の判事は誰か。それは、オバマ政権およびバイデン政権により任命された左派系女性判事3人である。過去の類似事例でも、この3人は一貫して反対票を投じてきた。
市民権問題に関心を持つ者にとって、「出生地主義」そのものの合理性に最高裁がどう踏み込んだかは重要な関心事である。だが、今回の判決は「出生地主義」制度そのものには直接言及しておらず、あくまで大統領令に対する地方判事の越権行為を否定したにとどまる。
では、トランプ大統領の「出生地主義」改革が今後どう展開するのか。仮にこの方針が法制化されれば、「アメリカ市民となる条件」は大きく変わる。具体的には、両親のうち一方がアメリカ市民であれば、その子供も自動的に市民権を取得できる。また、いずれかの親が合法的な永住権を持っていれば、同様に子供は国籍を得られる。これは、不法移民がアメリカに殺到する主要動機を断ち切るものである。統計によれば、毎年約150万人の子供が不法移民によってアメリカで出生している。
トランプ大統領は「出生地主義」制度の導入に至った歴史的経緯、そして現代アメリカにおける制度改正の必要性について語っている。合衆国憲法第14修正条項を制定した時代背景を踏まえたうえで、現在の不法移民問題に対応するため、新たな法整備を主張しているのである。
最高裁の判決により、トランプ大統領がこれまで直面してきた行政的障害は大きく取り除かれた。今後の施策実施に向けて大きく前進する可能性がある。しかし、判決を受けた記者会見で、トランプは大統領という職務の重さについて、ユーモアを交えながらもどこか哀感を帯びた言葉を残した。
親の権利と教育現場への影響
私の見解では、もう一つのアメリカ最高裁判所の判決は、先に述べた案件と同等の重要性を持ち、さらに広い範囲に影響を及ぼすものである。この判決は、西側世界全体をより伝統的な、人類が本来守るべき思想と行動様式へと導く契機となるであろう。
最高裁は、親が自分の子供にどのような教育を受けさせるかを選択できることを認め、LGBTQ+の宣伝による価値観の押し付けを排除する姿勢を明確にした。LGBTQ+という略語は、同性愛者、両性愛者、トランスジェンダーなどを指す語として広く知られている。この判決は、宗教の自由の観点から見て、アメリカ国民にとって大きな勝利と位置づけられる。
この裁定は、アメリカ・メリーランド州の複数の保護者が起こした訴訟によって下された。原告らは、公立学校が生徒に同性愛、トランスジェンダー、ドラァグクイーンといったテーマを含む補助教材の読書を強制する行為が、彼らおよびその子供たちの宗教の自由を侵害していると主張した。
最高裁判所は、この案件を6対3の判断で裁き、アメリカ国民の宗教の自由を守る必要性を明示した。反対票を投じたのは、例によって3人の女性判事である。この裁定により、アメリカの親は子供がどのような教育内容に触れるかを選択できる権利を確保し、とりわけ信仰に反する内容を拒否して、子供の健全な成長を図る道を得た。このような保護措置は、単に宗教の自由を認めるにとどまらず、教育を受ける権利の保障としても意義深い。
今回の判決は、アメリカにおける学校教育のカリキュラム編成、特に価値観が分かれるテーマに関わる教育内容に対して、今後大きな影響を及ぼすことになる。教育とは、アメリカ国民がいかなる人間となるか、さらにはアメリカという国家の未来をどう形づくるかを左右する根幹的要素である。

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