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トランプ大統領のあわただしい北大西洋条約機構サミット 主なポイント

2025/06/26
更新: 2025/06/26

【オランダ・ハーグ発】――ドナルド・トランプ米大統領は6月25日、NATOサミットのためにオランダを24時間で駆け抜け、同盟国から防衛費拡大の重要な合意を取り付けて訪問を終えた。

昨年、ワシントンでジョー・バイデン前大統領が主催し、トランプ氏との討論後のパフォーマンスが注目されたサミットとは対照的に、今年のサミットでは雰囲気や重点が大きく変わった。

今回のサミットでは、中東の停戦に関するトランプ氏の発言、イランの核施設に対する米軍攻撃の情報が漏れた件、さらにロシア・ウクライナ紛争に対するトランプ氏の考え方に関心が集まった。

以下が今年のサミットの主なポイントである。

「歴史的な節目」

今年のサミットでは、NATO加盟国が防衛費目標を国内総生産(GDP)の5%に大幅に引き上げることで合意した。この計画はトランプ氏が長年主張してきたものである。

サミットでの記者会見で、トランプ氏はこの新たな合意(ハーグ防衛コミットメント)を「歴史的な節目」と称賛し、「誰も本当に実現可能だとは思っていなかった」と述べた。

サミット声明によれば、NATO加盟国は2035年までに毎年GDPの少なくとも3.5%を中核的な防衛要件に充てることで合意した。加盟国はこの目標達成に向けた信頼できる道筋を示す年次計画も提出することで合意している。

加えて、NATO加盟国は重要インフラ、サイバーセキュリティ、市民の備え、イノベーション、防衛産業基盤の強化のため、さらにGDPの1.5%を毎年投資することになる。

トランプ氏は、この防衛コミットメントにより、NATOの集団防衛に年間1兆ドル以上が追加されると述べた。

また、彼は新たな資金が官僚機構ではなく軍事装備に使われることを望むと語った。「できれば、その装備はアメリカ製であってほしい。なぜなら、我々は世界最高の装備を持っているからだ」と述べ、増加する防衛費の主な受益者となる米国防衛産業をアピールした。

サミットで大きく浮上したイラン問題

サミットでは本来、イランの核施設3カ所を破壊したアメリカの最近の攻撃をトランプ大統領が祝う場になると見られていた。しかし実際には、大統領はこの軍事作戦の成果に疑問を投げかける報道に対して反論することに多くの時間を割いた。

サミット中の記者会見でトランプ氏は、「週末の作戦に参加したB-2爆撃機のパイロットたちを含む兵士たちの努力を、こうした報道が台無しにしている」と述べた。

またトランプ氏は、CNNなどのメディアが「今回の攻撃ではイランの核計画の重要な部分は壊せなかった」とするアメリカの機密情報の内容を報じたことについても強く批判した。

これに対しトランプ氏は、イラン外務省報道官が「核施設は攻撃で深刻な損傷を受けた」と主張した声明を引用した。

6月25日朝のNATO事務総長マルク・ルッテとの会談でも、トランプ氏は米軍の攻撃がイスラエル・イラン紛争の終結に寄与したと述べ、第二次世界大戦を終結させた広島・長崎の原爆投下になぞらえた。

トランプとルッテの関係

ハーグサミットでは、トランプ氏とNATOのルッテ事務総長との関係が特に注目された。ルッテ氏は、NATO加盟国に防衛費拡大を促したトランプ氏のリーダーシップを称賛し、イランの核能力を解体した「決断力ある行動」を評価した。

6月25日朝の両者の会談で、トランプ氏はイスラエル・イラン紛争を「学校の校庭で喧嘩する二人の子供の大きな争い」に例えた。

「彼らは激しく戦う。止められない。2〜3分戦わせておけば、あとは簡単に止められる」とトランプは述べた。これに対しルッテ氏は、「時にはパパが強い言葉を使う必要がある」と冗談で返した。

このやり取りは瞬く間に拡散し、NATO事務総長がトランプに過剰にへつらっていると批判する声も上がった。ルッテ氏は自身の発言を擁護し、「トランプは良き友人だ。彼は称賛に値する」と述べた。

トランプ・ゼレンスキー会談

サミットのもう一つの重要なハイライトは、6月25日にトランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領と会談したことである。停戦について話し合ったか問われると、トランプ氏は「いや、彼の様子を知りたかっただけだ」と記者団に語った。

「実際、とても良い会談だった。少し険悪な時期もあったが、彼はこれ以上ないほど親切だった」とトランプ氏は述べた。

トランプ氏は、ロシアのプーチン大統領と会談し、停戦の道を探る意向を表明した。ロシアへの追加制裁を検討しているかについてはコメントを避けた。

欧州の指導者たちは、トランプ氏が以前約束したクレムリンへの二次制裁を実施することを期待していたが、その見通しは当面保留となったようだ。

また、サミットのコミュニケ(公式声明)も言葉遣いの変化を反映している。2024年の声明では「ウクライナの未来はNATOにある」と宣言されていたが、今回は「同盟国はウクライナへの揺るぎない主権的支援を再確認する。ウクライナの安全保障は我々自身の安全保障にも貢献する」と記された。

Emel Akan
エポックタイムズのホワイトハウス上級特派員、トランプ政権担当記者。 バイデン前政権とトランプ第一次政権時は経済政策を担当。以前はJPモルガンの金融部門に勤務。ジョージタウン大学で経営学の修士号を取得している。