洪水が中国南部各地で発生し、災害が広範囲に及んだ。さらに、水庫(ダム)からの無予告放流が重なり、住民の被害は甚大だ。村々は水没し多くの家庭が食料や水を絶たれ、救援を求めても応じてもらえない。しかし中国共産党(中共)の高層部は、例によって見て見ぬふりなのだ。
6月中旬以降、記録的豪雨とダムの無予告放流により、重慶、江蘇、浙江、安徽、河南、湖南、広東、湖北、広西など中国南部各地で、洪水被害が深刻化している。
住宅は流され、家畜が失われ、住民は水も食料も絶たれた生活を強いられている中、習政権は災害対応よりも国外支援を優先し、国民の怒りは沸騰している。

内陸部・湖南省では、178か所のダムを放水し、1998年以来の最大規模の洪水が発生して、多数の村落が水没、または孤立している。住民は2日以上も孤立状態のまま救援を待ち続けている。中学試験と重なった地域では、生徒たちが泳いで試験会場に向かうという異常な事態も起きている。
広東省茂名市や肇慶市でも水位は記録を更新し、道路が冠水、車は水没、町はまるで泥とゴミの海と化した。6月19日、肇慶市では、洪水の直後のスーパーマーケットで住民による集団略奪の事件が発生した。

同様の水害は、湖北、安徽、広西、貴州、雲南各地にも広がっており、計27の河川で警戒水位を超える洪水を確認した。
被災地からは「ダム放水の事前警告はなかった」と怒りの声が上がるなか、当局は、自国の救済どころか、17日に「年内に中央アジア諸国に15億元(約300億円)の無償援助を提供する」と高らかに宣言し、国民の怒りは頂点に達した。
SNSでは「子供が洪水に流され、親が屋根で助けを求めても無視されたままだ。我々の命は、海外への見栄より軽いのか」との悲痛な投稿が相次いだ。

中共の「為人民服務(人民に奉仕する)」は、最も有名な政治スローガンとして知られる。しかし、そんな「人民のための政府」を嘯(うそぶ)く中共が、肝心の「人民」が水に沈み、助けを求める声に背を向け続ける現実に、政権の正当性そのものが問われる。
沈黙と放置、そして欺瞞──それが今の中国の「災害対策」なのかもしれない。見捨てられた庶民の怒りは、静かに、しかし確実に政権の根を揺るがす。
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