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イラン核施設爆撃で中国共産党の中東戦略挫折 習近平は恐慌状態

2025/06/25
更新: 2025/06/25

アメリカ軍は、イランの核施設に対して空爆を実施し、重要目標の破壊に成功した。この突発的な軍事行動は、中東の地政学構造に深い影響を及ぼすと同時に、中国共産党(中共)政権の中東戦略にも重大な打撃を与えた。ある分析は、イラン戦局の急変が中共の上層部、特に習近平を極度の恐慌状態に追い込み、対外戦略の緊急な見直し、さらには台湾方面への軍事配置にまで影響を及ぼす可能性を指摘した。

アメリカの対イラン戦略の核心:中共の中東拠点を崩壊

6月22日、トランプ大統領は、イランの三つの核施設に対し「非常に成功した攻撃」を実行したと発表した。標的となったのはフォルドゥ、ナタンツ、イスファハンの各核施設である。

これに先立ち、アメリカのメディアは、B2爆撃機がアメリカ本土からグアムに移動したと報道した。

中国問題専門家の袁紅冰氏は、本件についての取材に応じ、トランプ大統領の発言は、国際社会に対し、今回の戦争がアメリカとイスラエルの共同作戦によって、イランの核能力を排除しようとする試みであることを明確に示したと述べた。また、トランプ大統領がイスラエルと連携してイランを攻撃した根本的な政治的戦略目標は、中共独裁政権の中東拠点を徹底的に崩壊させる点にあると指摘した。加えて、イランは中共と国際テロ組織との同盟関係を構築する上での結節点をなしていた。

袁紅冰氏は、イランの核能力の排除は、アメリカの最も直接的な目標にすぎず、より広い戦略的視点から見れば、アメリカは中共独裁政権の中東拠点、すなわちイランを完全に排除する方針を掲げていたと主張する。

彼はまた、中共とイランの関係性について、政治・経済・軍事のあらゆる分野で中共がイランに全面的な支援を提供してきたことを強調した。今回、米軍の精密兵器が破壊したイランの地下核施設は、中共のエンジニアチームが建設支援を行ったものであるとされ、さらに、イランのミサイルや無人機技術、防空システムの多くも中共に由来する。

袁紅冰氏は、中共がイランをはじめ中東地域のヒズボラ、ハマス、フーシ派といった国際テロ勢力と結びつくと述べた。そして、アメリカとイスラエルによる今回の攻撃が、中共と国際テロリズムの同盟関係を著しく弱体化させ、場合によっては、その関係を根底から崩壊させる可能性に言及した。

彼の見解によれば、中共独裁政権はすでにロシア、イラン、北朝鮮とともに「悪の枢軸」を形成しており、その中心目標はアメリカを国際秩序の主導権から排除し、「人類運命共同体」の名の下に、共産主義的価値観による世界支配を目論んでいた。イランは、その戦略の中で不可欠な支点であり、同時に、中共はイランとの同盟関係を活用し、アメリカの国力と戦略的注意を中東に引き付けたうえで、台湾海峡における戦争の準備を進める構想を抱いていた。このようにして、中共は、共産主義独裁体制の国際的拡張における鍵となる一歩を踏み、出そうとしていた。

これらが、中共のイランを通じて遂行しようとしていた二つの主要戦略目標である。

中共、最初「タカ派」姿勢も戦局逆転に直面し恐怖で後退

袁紅冰氏は、イスラエルによるイラン攻撃の初日に、中共内部が即座に反応した事実を明かした。中共中央書記処は外交部を通じて、世界中の大使館・領事館に対し「外交大作戦の準備」を命じたうえで、イスラエルの行動を全面的に非難し、イランの「反侵略」を断固支持するよう要求した。同時に、宣伝部と主要国営メディアに対しても、同様の方針を打ち出した。

しかし36時間も経たぬうちに、指令内容は急変した。宣伝方針は「平和」をテーマに切り替わり、双方の和解を呼びかける内容となり、イスラエルへの非難も「ある程度」に抑えられた。

この劇的な変化の理由について、袁紅冰氏は、中共体制内の消息筋から得た情報を基に説明した。中共指導部は、イスラエルがわずか24~36時間以内にイランの主要軍事指導者の大半を消滅し、核兵器関連の著名科学者までをも正確に消滅できるとは想定していなかった。この事実は、中共に深刻な衝撃を与えた。イラン軍は戦争初期に大規模な「斬首」作戦を受け、戦局全体で一方的に攻撃される状況に陥り、自国の領空もイスラエル軍機に自由に出入りされる状態に置かれ、この結果、中共の戦略的読みは完全に外れた。

戦争勃発から6日目には、中共国務院台湾事務弁公室(国台弁)が中共中央対台工作指導グループ(組長:習近平)の指示を受け、福建省の国台弁に命令を下した。イスラエルがイランの重要部門に対し展開した浸透戦術を詳細に研究し、それを将来の台湾海峡戦争に応用できるかを探るよう命じたのである。この指示は、国台弁を含む全ての対台湾統一戦線機関に対し、「対台湾軍事行動に有利な条件・勝利条件の創出」を統一戦線活動の核心原則として明確化する方針を再確認する内容であった。

袁紅冰氏は、イスラエルの「斬首」作戦が、中共と習近平に極度の恐怖を与えた点も指摘し、この恐怖が背景となり、現在中共の各軍種や戦区の司令部では「シャドー機構」が設置された。これは、各指導部において予備の指導体制を常備し、本体が壊滅しても即時に代替指揮を可能にする体制である。

イスラエルの空爆による成果は北京を震撼させ、中共の中東戦略に重大な挫折

さらに、アメリカがイランの地下核施設を破壊可能であることを示した事実について、袁紅冰氏は中共にとって強烈な軍事的威嚇であると述べる。中共も同様に地下に指揮系統や戦時作戦施設を配置しているが、アメリカの「地下核シェルター攻撃」能力は、中共独裁体制に深刻な恐怖を与えた。

今回のアメリカ・イスラエルによるイラン攻撃の最終的な帰結はまだ不透明であるが、少なくとも次の事実は明らかである。中共が中東で最も重視してきた拠点、すなわちイランは壊滅的な打撃を受け、政権交代の可能性すら視野に入る段階に至った。この事態は、いわば「トランプ大統領2.0」による中共の全体主義的拡張戦略への強力な逆襲となった。

また、中共にとって新たな懸念となっているのが「東トルキスタン」勢力の台頭である。もしシリアで親中露のアサド政権(ロシアやイランの支持により、今も存続)が崩壊すれば、新疆の反抗勢力が「東トルキスタン組織」として、シリア地域に活動拠点を築く可能性が高まり、イランの弱体化は、このシナリオをさらに現実味あるものにし、中共の警戒対象となった。

袁紅冰氏は、アメリカとイスラエルの最終的な政治目標についても言及し、両国は、イランの神権体制を解体または転覆させ、パフラヴィー王朝時代のような世俗政権の復活を目指している可能性が高い。仮にこの目標が達成されれば、中共が、イランおよび中東全域で勢力を取り戻す余地は根本から断たれることになる。

これに対し中共は、今後もイランの神権体制を強く支援していくと袁紅冰氏は分析し、政治・軍事・文化の各分野において、公然または秘密裏に全面的な援助を続けるのみならず、中共はイランに対して、次の2つの行動を期待しているという。

第一に、地域紛争の拡大。ホルムズ海峡や紅海の航路を封鎖するなど、戦争の波及範囲を広げ、アメリカの戦力を中東に縛り付けて消耗させる。第二に、世界規模でテロ攻撃を扇動。イランの神権体制や国際的なテロ残党勢力を支援し、アメリカおよびイスラエルに対して、全地球規模の攻撃を仕掛けることだ。

方曉
駱亞