イスラエルとイランの軍事衝突が激化し、中東情勢が一層緊迫した。アメリカは最新鋭空母フォードを第六艦隊へ展開し、万が一の事態に備える。
アメリカ海軍の最新鋭空母ジェラルド・R・フォード(USS Gerald R. Ford)は来週、ヨーロッパに向けて出航し、主に地中海・大西洋の東半部を担当範囲としている第六艦隊の作戦区域に展開する。この配備により、アメリカは、イスラエルとイランの衝突が激化した場合、周辺地域に三つ目の空母打撃群を展開する態勢を整える。
フォード空母は、定期任務としてアメリカ東海岸から出航し、ヨーロッパ海域へ展開する。トランプ大統領は、イスラエルとイランの間で高まる緊張に対して、軍事介入の可能性を視野に入れており、フォード空母の展開は、アメリカに第三の軍事オプションを提供する形となった。
18日、国防当局者は「星条旗新聞(The Stars and Stripes)」の取材に対し、今回の配備は、数か月前から計画を進めてきたと説明した。第六艦隊はヨーロッパおよびアフリカ周辺の海域を担当区域としている。
以前、フォード空母は東地中海に展開し、2023年10月7日のハマスによるイスラエル襲撃を受け、アメリカ軍は存在感を示しつつ、同盟国支援の一環として行動した。
中東地域でのアメリカ軍の最新動向
現在、アメリカ海軍は、カール・ビンソン空母をアラビア海に展開し、さらにニミッツ空母をインド太平洋地域から中央司令部の作戦範囲へ移動中である。
船舶ウォッチャーの観測によれば、ニミッツ空母は16日未明、シンガポール海峡を通過した。この海峡は南シナ海と中央司令部の責任区域を結ぶ重要な航路である。アメリカが三つの空母打撃群すべてをイスラエル・イランの緊張地域に集中させるかどうかは、現時点で未定である。
一方、18日の上院軍事委員会で、ヘグセス国防長官は、国防総省がトランプ大統領に複数の軍事オプションを提示し、大統領はイスラエルによるイラン核施設への攻撃作戦への関与を検討中であると証言した。
アメリカ国防総省は、数十機の空中給油機をヨーロッパに展開するとともに、海軍駆逐艦2隻以上を中東地域に派遣し、紛争に備える体制を構築している。
フォード級空母による戦闘打撃群は、世界規模での即応展開と打撃力を兼ね備え、アメリカ海軍の作戦遂行における中核を担っている。フォード空母は、この打撃群の中心的存在であり、F/A-18スーパーホーネット戦闘機、E-2Dアドバンスト・ホークアイ早期警戒機、EA-18Gグラウラー電子戦機など、多様な艦載航空機を搭載する。これらの航空機は、空中優勢の確保、地上攻撃、電子戦といった多岐にわたる任務を遂行し、打撃群の各艦に強力な航空支援を提供する。
「星条旗新聞」によれば、フォード空母は母港ノーフォーク海軍基地(バージニア州)から出航する予定である。国防当局者は、フォード空母が最終的に中東へ向かうかどうかは明らかにしていないが、海軍幹部は3月の時点で、この紛争多発地域に配備される可能性に備え、艦はすでに準備していたと述べた。
同打撃群に属するアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦には、迎撃型無人機システム「コヨーテ」と「ロードランナー」を搭載予定である。これらは敵の無人機の侵入を阻止する目的で開発され、従来の標準ミサイルと比べて極めて低コストで運用できる。
海軍当局は、この新型無人機兵器がイエメンのフーシ派武装勢力による無人機攻撃への対抗策として、有効であると見ている。
さらに、2人のアメリカ当局者はロイターに対し、アメリカ軍は中東におけるイランの攻撃対象となる恐れのある基地から、一部の航空機と艦艇を他所へ移動させたと明かした。
これらの当局者によると、今回の措置は、アメリカ軍の部隊保護計画の一環であり、移動した航空機や艦艇の正確な数や新たな配備先については、明らかにしていない。
そのうちの一人は、アメリカ海軍艦艇が第五艦隊の拠点であるバーレーン港を離れたこと、また強化シェルターのない航空機がカタールのウデイド空軍基地から別の場所へ移動したことを明らかにした。
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