中国製のスマートEVを購入した男性が、プライバシー協定への同意を拒否したところ、所有者資格を剥奪され、車を使えなくなる事態が起きた。
問題の車は長安汽車傘下のエネルギー車(NEV)ブランドである深藍汽車(Deepal)のセダン「深藍L07」。
今回、浙江省温州市の車所有者が、車両アプリから提示された「広告配信への同意」を含む新たなプライバシー協定(個人情報の使用に関する同意)に同意しなかった結果、「車主」から「ゲスト」モードに格下げされた。格下げとなったため、車両のロック解除、遠隔駐車、充電予約などの主要機能が使えなくなり、また物理的な鍵も最初からないため、所有者は雨の中で車に入れず立ち尽くすなどの被害を受けた。
この事例だけでなく、他のユーザーからも同様の苦情が相次いでいるという。中国メディア「大象新聞」が報じた。
過去にも同社はユーザーの許可なく広告を強制配信し、謝罪と再発防止を約束したばかりだった。しかし新たな協定文には再び「広告配信への同意」が求められてきた。
専門家は、「アプリを通じた車両制御が前提となるスマートEVにおいて、メーカーが恣意的にアクセスを制限するのは、消費者権利の重大な侵害であり、法的にも問題がある」と警鐘を鳴らす。
中国ではすでに、EV車のリモートロックや電力遮断がメーカーによって行われた事例が複数報告されている。さらには、走行映像などの個人データがメーカーによって無断でSNSに公開されるなど、プライバシー保護の概念そのものが崩れつつある。


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