ヴァンス米副大統領は、ミュンヘン安全保障会議で米欧分断論を否定し、米中対立や台湾問題、中国の過剰生産、トランプ政権の関税政策など、世界貿易を巡る最新の国際情勢について語った。
5月7日、ワシントンでのミュンヘン安全保障会議において、ヴァンス副大統領は、米中間で台湾問題に関する戦略的対話が行われていないことを認めた。また、彼は中国共産党(中共)に対し、過剰生産品の大量輸出を控え、内需の拡大を促すべきだと述べた。さらに、欧州との関係について、米欧間に隔たりを作ることができると考えるのは「ばかげた」発想だと強調した。
アメリカのトランプ大統領が世界的な関税を発表した後、中共は、この機会を利用して欧州を抱き込み、共にアメリカに、対抗しようと試みた。
5月6日、中共の党首 習近平は、中欧国交樹立50周年を祝し、コスタ欧州理事会議長とフォン・デア・ライエン欧州委員長に祝電を送った。習は祝電で、欧州連合の首脳たちに対し、北京と共に単独主義や一方的ないじめに反対し、共にグローバルな課題に取り組むよう呼びかけ、トランプ大統領の世界貿易再均衡の試みを暗に非難した。
ヴァンス副大統領は7日に、「私は今でもアメリカとヨーロッパは同じ陣営にいると信じている」と述べた。しかし、副大統領はまた、アメリカと欧州が過去20年の安全保障体制に安住しすぎており、それでは今後20年の安全保障には不十分だと強調した。
「ヨーロッパ文化とアメリカ文化は密接に結びついており、これからもずっとそうだ」とヴァンス氏は言った。「私の見解では、アメリカとヨーロッパの間に堅固な隔たりを作れると考えるのは、まったくばかげた発想だ」と、彼は説明し、「ヨーロッパが悪く、アメリカが良いというわけではない。米欧ともに少し道を外れていると思う。共に正しい道に戻ることを奨励したい。もちろん、我々はその作業に参加したいし、できる」と述べた。
トランプ政権の関税政策の目的
ヴァンス氏は、トランプ政権がアメリカの労働者と製造業者の利益を守るために、世界貿易のバランスを再調整することに努力しているところだと述べた。これは、中国が国内の需要を刺激するための措置を講じる必要があり、膨大な製品の輸出を増やさないようにすることを意味した。
「これは、アメリカの製造業者がより公正な扱いを受けるべきだということだ」と彼は言った。「我々は世界貿易を再均衡させたいと考えている。それが、政策の明確な目標だ。それと同時に、正しい方法でそれを行いたいとも思う。メディア報道で中国側とアメリカ側が接触したと見ているだろうし、もちろん、我々は彼らと話し合うつもりだ」
「私は詳細をあまり明かさず、交渉において先走った判断を避けるが、我々は、貿易の再均衡とアメリカ労働者の利益を、アメリカの製造業者の利益に合致させたいと考え、これが我々の政策だ。我々は、中国や他の多くの国々と、少なくとも公開の対話を維持しながらこれを実現できると信じている」「しかし、これは従来のビジネスのやり方が安定して続くことを意味するものではない。そんなことは全くあり得ない」とヴァンス氏は述べた。
彼はさらに、再均衡には「欧州の友人や、より対立的な国々」とのさらなる貿易協定が必要だと強調した。目標は、「中共(共産中国)とも、少なくとも公開の対話を維持する」ことだと補足した。
ヴァンス氏はまた、アメリカと中国が台湾問題について、戦略協議の対話を行っていないことを認めた。
「台湾問題に関する戦略協議について、皆さんが言及した報道を見ていないため、この件には触れていない。ただし、我々両国政府間で、この特定の問題に関する戦略協議が行われていないことは明白である。我々が議論しているのは、世界中の生産者余剰(producer surplus)を吸収することができないという事実である」と述べた。
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