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トランプ新関税 ベネズエラ原油25%課税で中国に打撃 石油市場に激震

2025/03/28
更新: 2025/03/28

トランプ大統領は3月24日、ベネズエラのエネルギーに関する大統領令に署名し、4月2日からベネズエラから石油や天然ガスを購入する場合に25%の関税を課すと発表した。これは第三者を通じての購入にも25%の関税を適用すると言う。

大統領令発表の翌日、ベネズエラの石油輸出は完全に停止した。この突然の措置に、一部の石油取引業者は驚きを隠せなかった。

中国への影響 最大の原油輸入国として直撃

この大統領令は、ベネズエラ経済に深刻な打撃を与えるだけでなく、中国の対米輸出にも新たな衝撃をもたらす。なぜなら、中国は、ベネズエラの石油を最も多く購入している国だからである。2023年の統計によれば、ベネズエラの石油輸出の68%が中国向けであり、今年2月には、中国が直接または間接的に1日平均約50万バレルを輸入し、これは同国の総輸出量の55%に相当する。

言い換えれば、トランプ大統領は、1月に2期目の任期を開始して以来、2月と3月にフェンタニル問題を理由に中国製品に2回10%の関税を課したが、中国がベネズエラの石油を輸入しているため、中国製品にはさらに25%の関税がかかることになる。ただし、中国共産党がベネズエラの石油や天然ガスの購入を停止すれば、この関税は回避可能である。中共はこのアメリカの新たな措置に対して、反対の意を表明した。

この関税が実施されれば、中国の民間精製業者に影響を与えることになり、彼らはベネズエラ原油の最も積極的な買い手の一つであり、ベネズエラが、国際的な制裁を受けた後の、原油価格の割引を巧みに利用してきた。

では、なぜトランプ大統領は、ベネズエラのエネルギー輸出を狙ったのか? 石油と天然ガスはベネズエラ経済の生命線であり、アメリカはその石油を輸入する国であり、主要な投資生産国でもある。マドゥロ氏は2013年からベネズエラの大統領を務めているが、2022年、バイデン政権は、マドゥロ大統領に対し、野党との協力、民主的改革の実施、そして拘束しているアメリカ人の釈放を約束させる見返りに、ベネズエラへの石油制裁を緩和し、シェブロンにベネズエラでの石油事業の許可を与えた。

分析によると、マドゥロ大統領は、石油許可を利用して約40億ドルの利益を得たとされている。

昨年7月、マドゥロ大統領は、物議を醸す大統領選挙で再選を宣言し、野党の競争相手を国外に追放し、今年1月、マドゥロ大統領は、国際社会の疑問や非難を無視して大統領に就任した。トランプ大統領は、この状況がかつてバイデン大統領とベネズエラが結んだ協定の本来の意図に、反していると考えている。

トランプ大統領は就任後、マドゥロ大統領が自国の選挙改革や不法移民の受け入れ問題で改善を示さなかったと非難し、シェブロンのベネズエラでの石油・天然ガス採掘およびアメリカへの石油輸出の事業許可を終了すると宣言した。そして、シェブロンに対し、5月27日までに現地の事業を閉鎖し、ベネズエラから撤退するよう求めた。

トランプ大統領は、ベネズエラが数万人のギャングをアメリカに送り込んだと非難し、不法移民の強制送還を加速している。今月初め、彼は1798年の「外国人敵対法」を引用し、ベネズエラのギャング「アラグア・トレイン」(Tren de Aragua)と疑われるメンバーを国外追放したところだ。

二級関税 トランプ大統領の新たな対中戦略

トランプ大統領の対中新戦略は、従来の金融制裁に代わる「二級関税」(Secondary Tariff)という新たなアプローチである。ヒューストンのライス大学のエネルギー政策専門家によれば、これは「関税+二次制裁」のハイブリッドであり、相手を正確に攻撃しつつドル体制を揺るがさず、アメリカの財政収入を増やすという一石三鳥の効果をもたらす。

トランプ大統領はかつて、金融制裁を好まないと語った。その理由は何か? それは「脱ドル化」を加速させ、逆にアメリカ自身を傷つけるからである。一方、関税は異なり、相手を抑え込む手段となり、交渉の切り札としても機能し、徴収や解除が非常に柔軟に行える。

中国共産党の反発と外交部の非難

案の定、中国共産党は黙っていられなかった。外交部の報道官はすぐに出てきて、アメリカを激しく非難し、「違法な一方的制裁の乱用」や「ベネズエラの内政に対する粗暴な干渉」と述べ、さらに「貿易戦争に勝者はない」という古い台詞を繰り返した。

しかし、結局のところ、中国共産党は、誰のために抗議しているのか? 本当にベネズエラのためか? もちろん、そうではない。彼らが心配しているのは、自分たちの「石油の命脈」を、トランプ大統領に握られたことである。

ベネズエラは、中共にとって西半球の重要な石油供給源である。現在、この供給源をトランプ大統領が封鎖しており、今後、中国の石油価格上昇は、ほぼ避けられない状況になった。

AFPの報道によると、トランプ大統領は、ベネズエラの「対米敵視」を明言し、多くの犯罪者が密かにアメリカに送り込まれていると非難した。これがアメリカが懲罰的関税を課す理由の一つだと彼は述べた。

このアプローチは、トランプ大統領が以前に中国共産党に対して取った手法と非常に似ている。例えば、中国共産党がフェンタニルの禁輸に消極的だったため、トランプ大統領は、中国製品に20%の関税を課した。

中共は「対話と協力」を叫びつつ、同時にアメリカの大豆、豚肉、鶏肉などの農産物に最大15%の報復関税を課した。

しかし、今回トランプ大統領は、一見ベネズエラを狙い撃ちにしているように見えるが、実際には依然として中共を攻撃しているのである。

ベネズエラの豊富な石油資源と経済への影響

ベネズエラに目を向けると、彼らの石油資源はどれほど豊かなのか? 国土面積は91万平方キロメートル、人口は2600万人に過ぎないが、石油埋蔵量は3千億バレル以上、世界の総埋蔵量の18%を占めている。つまり、地球上のほぼ5分の1の石油が彼らの地下に眠っているのである。平均すると、一人当たり1.2万バレルの石油があり、まさに「一人当たりの石油富豪」と言えるだろう。

比較すると、中国の国土面積はベネズエラの10倍、人口は50倍以上だが、石油埋蔵量はベネズエラの8%に過ぎず、ほんのわずかである。

現在、「石油を制する者が世界を制する」という言葉があるように、地球上のエネルギーのほぼ半分は、依然として石油に依存している。

さらに、ベネズエラは石油だけでなく、ほぼ「フルスペック」の資源を誇る。金鉱、ダイヤモンド鉱山、天然ガスが揃い、北側は海に面して漁業が盛ん、東側は真珠の産地である。耕地面積は4千万ヘクタールを超え、コーヒーやカカオなどの高付加価値農産物も豊富である。

資源の配分を考慮すれば、ベネズエラはまさに「天国」と言えるだろう。

実際、第二次世界大戦後から70年代、80年代にかけて、ベネズエラは南米で最も豊かな国だった。最盛期には1日380万バレルの石油を生産し、一人当たりGDPは7400ドルを超え、パリからカラカスへのコンコルド機が毎週離着陸し、高級品を箱単位で送っていた。

もしその後、社会主義と腐敗に引きずり込まれなければ、この資源の配置は、完全にサウジアラビアを超え、真の石油帝国となる可能性があったのである。

私は、この「ベネズエラ攻撃」という手段が、表面上は他国への制裁に見えつつも、実際には、中共の生命線である海外エネルギー供給路を狙ったものであると考えている。

従来の遅くて回避されやすい金融制裁に対し、トランプ大統領が用いた「二級関税」という手段は、正確かつ厳格で、中共に対して不意打ちを与えた。

今後、中国共産党は反撃に出るのか? 石油価格は大幅に上昇するのか? 私たちは引き続き注視し続ける必要がある。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
唐青