東京地方裁判所は25日、世界平和統一家庭連合(以下、統一教会)に対する解散を命じる決定を下した。これに対し、統一教会側は東京高等裁判所への即時抗告を検討していると表明した。
統一教会側は、今回の判断について「民法上の不法行為が宗教法人法の解散事由に該当するという新たな解釈は、日本の信教の自由と宗教界全体に大きな禍根を残す」と強く反発している。
3日には、統一教会が宗教法人法に基づく質問権行使に対する文部科学省の調査への回答を拒否したとして、文科省が統一教会側に過料を科すよう求めた裁判で、最高裁第1小法廷(中村慎裁判長)が「民法上の不法行為も解散命令の要件に含まれる」との初判断を示した。
宗教法人法第78条は、 宗教法人に対して、法令違反の疑いがある場合に文部科学大臣が質問を行い、必要な報告・資料提出を求める権限(質問権) を認めている。2022年11月以降、文科省は統一教会に対して数次にわたり質問権を行使し、情報提供を求めていた。
最高裁の判断に対し統一教会側は3月11日、公式サイトで文科省の主張する「不法行為の組織性、悪質性、継続性」に関連する質問には回答したと説明。それ以外の信者のプライバシーに関する不適切と思われる質問についても、可能な限り回答に努めたと反論した。
統一教会側は、文科省の要求が全国約300か所の教会組織および本部の過去17年分の資料収集に及び、段ボール5千箱以上、提出すれば1万箱を超える膨大な量であることを指摘。その精査には数年を要するにもかかわらず、文科省が実質2週間での報告を求めたことは「常軌を逸している」と批判した。
ヴァンス米副大統領は5日、ワシントンで開かれた「国際宗教自由(IRF)サミット」で最高裁第1小法廷の判決に触れ「日本政府は超えてはならない一線を超えた」と述べ、文科省の解散命令請求を批判している。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。