DOGE主導の連邦政府改革におけるイーロン・マスク氏の役割をめぐり、一部の批評家から疑問の声が上がる中、マスク氏は3月10日のインタビューで自身の立場について説明した。
マスク氏によると、DOGEはソフトウェア、情報セキュリティ、財務、技術の専門家で構成されており、現在のチームは100人以上だが、今後200人規模に拡大する可能性があると言う。
また、DOGEは閣僚や連邦機関のトップらと定期的に協議を重ねていると説明した。
3月10日、フォックス・ビジネスのラリー・クドロー氏とのインタビューで、マスクしは「我々は各省庁が状況を把握するよう支援をしている」と語った。
トランプ大統領、マスク氏と閣僚の対立報道を否定
最近、トランプ大統領は、匿名の情報源をもとに報じられた「マスク氏と一部の閣僚の間に対立がある」という報道を否定した。
トランプ大統領は、3月9日に記者団に「私は緊張関係があるとは思わない。だからといって、何かについて、ちょっとした言い合いや個人的な口論が全くないわけではない。しかし、基本的に閣僚たちはイーロンとうまくやっていると思う」と語った。
トランプ氏は、これまで繰り返しマスク氏の取り組みを称賛してきたが、政府の支出削減とスリム化というトランプ氏の選挙公約に取り組んでいるDOGEに対して、懐疑的な見方も根強い。
活動家の過激な行動、テスラ販売店が攻撃を受ける
最近、一部の活動家がより過激な手段をとっている。過去1週間で、マサチューセッツ州、オレゴン州、ニューヨーク州のテスラ販売店が暴力の標的となった。
また、イーロン・マスク氏が所有しているXは、3月10日にハッカーによる攻撃を受け、一時的にダウンした。
マスク氏は「何が起こったのか正確には分からないが、大規模なサイバー攻撃が発生した」と語った。この事件と、自身の政府への関与を標的にした批判を一蹴した。
「人生の明るい面を見よう。私たちは正しいことをしていると思う」
と強調した。
トランプ政権の改革に反対する勢力には、連邦職員、労働組合、議員などが含まれており、政府のコスト削減計画を阻止しようと、数十件の訴訟が提起されている。
マスク氏はDOGEが、1兆ドル以上の連邦支出削減を目標としていると述べた。
マスク氏の監督下で、DOGEは3月10日時点で1050億ドル以上の「不適切な支出の可能性がある取引」を発見しており、これは納税者1人当たり650ドル以上の負担に相当すると、同機関のデータが示した。
DOGEの透明性と発見された不正
DOGEは、公式サイトを通じて透明性を確保 しており、不必要と判断された契約やリースの詳細、関連する領収書へのリンクが公開されている。
また、同省が発見した不正の一例として、以下のような事案が報告されている。
- 2000万人の死亡者が「生存者」として社会保障名簿に登録されていた。
- 米国中小企業庁(SBA)が、11歳未満の子どもたちに3億ドル以上の融資を提供していた。
社会保障局(SSA)の名簿について、リー・デュダック局長代理は2月の声明で名簿に登録されている全員が必ずしも給付を受けているわけではないと述べた。
また、監査では数百万件におよぶ不正が明らかになり、偽の社会保障番号や盗まれた番号が使用されていたことが判明した。その規模は5000億ドルに上ると推定されている。
マスク氏は「私たちは基本的にお金の流れを追っているだけだ。我々がやろうとしているのは、アメリカの納税者のためにお金を節約し、大多数のアメリカ人が納得しない支出を止めることだ」と述べた。
米国際開発庁(USAID)を調査、不適切な支出が発覚
マスク氏によると、DOGEチームは、早い段階でUSAIDの調査を開始 したという。その理由は、USAIDが、大統領の指示を無視していたためだった。その後、同庁の予算は大幅に削減され、ほぼ解体された。
また、マスク氏は、非政府組織(NGO)が違法移民などの不正な目的に資金を流用している疑惑にも言及し、これを「巨大な不正の抜け穴」と表現した。
財務省の年間5兆ドルの支出にもメス、DOGEが透明性を強化
年間約5兆ドルにのぼる財務省の支出も精査の対象となっている。DOGEは現在、すべての支払いに対し、議会の予算承認コードと支払い理由の明確化を義務付けている。マスク氏によると、この措置により年間数千億ドルの節約が見込まれるという。
また、2兆ドルの連邦赤字を解消し、予算の均衡を図ることが、政権の最優先課題であると彼は強調した。
マスク氏は「このままでは、すべての資金が債務返済に回り、何の予算も残らなくなってしまう。私はアメリカが破綻することを本当に望んでいない」と語った。
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