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医療機関の倒産 過去20年で最多を記録

2025/02/27
更新: 2025/02/27

東京商工リサーチの調査によると、2024年の医療機関の倒産件数は64件(前年比56.0%増)で、過去20年で最多を記録した。休廃業・解散は598件(同14.1%増)で、2016年、2017年に次ぐ3番目の水準となった。

倒産と休廃業・解散の合計は662件(前年比17.1%増)に達し、過去20年で2番目の高水準を記録した。

業態別の分析

倒産

– クリニック 32件(前年23件)で過去20年最多
– 歯科医院 25件(前年16件)で2018年と同数の過去最多
– 病院(20床以上) 7件(前年2件)で前年比3.5倍に急増

休廃業・解散

– 病院 99件(前年78件)
– クリニック 361件(前年327件)
– 歯科医院 38件(前年119件)

小規模な医療機関での閉院が加速しており、クリニックが全体の60.3%、歯科医院が23.0%を占めている。

大型倒産事例

2024年の最大の倒産は、医療脱毛サロン「アリシアクリニック」経営の(医)社団美実会(東京)で、負債72億9500万円を抱えて破産を申請した。また、審美歯科医院経営の高橋デンタルオフィス(千葉)も負債19億円で破産申請している。

2025年に入ってからも、(医)福慈会(三重、負債66億7900万円)、(医)和伸会(愛知、負債30億8789万円)など、病院の大型倒産が相次いでいる。

医療機関が直面する課題

医療機関は以下のような複合的な課題に直面している:

1. 人口(患者)減
2. 経営者の高齢化
3. 人材不足
4. 医療設備の老朽化
5. 患者の実質賃金の目減り
6. 電気代や人件費、各種備品代などのコストアップ

これらの要因により、コストと診療報酬のバランスが崩れ、採算悪化から倒産や休廃業が加速する可能性がある。

今後の展望

今夏には独立行政法人福祉医療機構(WAM)のゼロゼロ融資の返済開始がピークを迎える。返済原資を確保できない医療機関が市場から撤退する可能性も出てきており、特に少子高齢化が進む地方では地域医療の根幹に関わる事態が進行している。

医療業界の厳しい状況が続く中、今後の動向に注目が集まっている。

大紀元日本の記者。東京を拠点に活動。主に社会面を担当。その他、政治・経済等幅広く執筆。