ホワイトハウスは、これまでホワイトハウス記者協会(WHCA)が決定していた代表取材(プール)のメディア選定を、今後は自ら決定する方針を示した。レビット報道官が2月25日に発表した。
記者協会によると、代表取材とは、大統領の取材を担当する少数の記者団であり、代表取材を通じて情報を共有する仕組みである。
同日の記者会見で、「ワシントンD.C.拠点の一部の記者だけが、ホワイトハウスでの記者アクセスの特権を独占するべきではない。すべてのジャーナリスト、メディア、そして多様な声が、この非常に貴重な場に参加する権利を持つべきだ」と述べた。
古参の主要メディアも引き続き参加を認められるが、ホワイトハウスは、これまでアクセスが制限されていた新聞やラジオメディアを新たに加え、同時に5大テレビネットワーク間でのローテーションを継続するとしている。
また、どのメディアが代表取材に参加できるかは、「その日のニュースによって判断する」と付け加えた。
記者協会、「自由な報道の独立性を損なう」と反発
記者協会は声明で、「アメリカの報道の自由の独立性を損なう動きだ。これは政府が大統領を取材する記者を選ぶことを意味している。自由な国では、指導者が自分の取材陣を選ぶことはあってはならない」」と非難した。
また、「歴代幹部は、新たなメディアや新興メディアの参加を促進するために、記者協会の会員枠や記者団のローテーションを一貫して拡大してきた」と述べた。
レビット氏は同日、「より多くのメディアや新興メディアに記者団への参加機会を提供し、政権の取材に関与できるようにしたい」と述べた。
AP通信とホワイトハウスの対立が背景に
この発表の背景には、ホワイトハウスとAP通信との間で続く法的対立があるとみられる。
AP通信は、トランプ氏が「メキシコ湾の名称をアメリカ湾に改名する大統領令に署名した後も、メキシコ湾を使用し続けたため、大統領執務室や大統領専用機(エアフォースワン)から締め出されている。同社は言論の自由の侵害などとして訴えた。
24日、連邦地裁がAP通信が求めた差し止め命令を棄却した。同社の主張する言論の内容に基づく差別が認められる可能性があると述べた。
ホワイトハウスは、「AP通信も他のメディアと同様にホワイトハウスの取材を続けることができると指摘し、判事にAP通信の要求を退けるよう求めた。
判決前に、記者協会はAP通信の申し立てを支持する陳述書を裁判所に提出し、ホワイトハウスの対応を批判する声明を発表した。
記者協会は「この声明は、政府が報道機関の報道の仕方に口を出したり、政府の意向に沿わない表現を使わない記者に罰則を科したりすることは許されないという我々の立場を改めて示すものだ」と記した。
トランプ大統領「我々が決める」
トランプ大統領は、2月25日に大統領令に署名しながら、代表取材の変更についてコメントした。
「ひどい…彼らは急進左派だ」と述べ、大統領執務室の背後に飾られた「アメリカ湾」の看板を眺めながら「涙が出そうだ」と冗談を交えた。
さらに、「今後は我々が決める」と述べ、ホワイトハウスが代表取材の選定を主導する方針を強調した。
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