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トランプ大統領 鉄鋼とアルミへ25%関税

2025/02/11
更新: 2025/02/11

ドナルド・トランプ米大統領は2月10日(現地時間)にすべての鉄鋼とアルミニウムの輸入品に25%の関税を課した。米国株は今週、取引開始時に上昇していた。

トランプ大統領は日曜日、スーパーボウルに出席するためフロリダからニューオーリンズへ向かう途中、エアフォースワン内で記者団に対し、「米国に入ってくるあらゆる鉄鋼」に25%の課税を発表すると述べ、「アルミニウムも」課税すると付け加えた。

大統領はまた、近く「相互関税」を発表すると述べた。この計画では、他国が米国製品に関税を課した場合、米国は商品やサービスに輸入関税を課すことになる。

「もし彼らが我々に130%の料金を請求し、我々が彼らに何も請求しないのであれば、その状態は続かないだろう」とトランプ氏は述べた。「彼らが我々に請求するなら、我々も彼らに請求する」

カナダとメキシコは、米国にとって最大のアルミニウムと鉄鋼の貿易相手国である。大統領は米国とカナダの貿易赤字は2000億ドル(約30兆円)だと主張したが、昨年の赤字は633億3000万ドル(約10万兆円)だった。米国際貿易委員会(U.S. International Trade Commission:USITC)が2023年3月に 実施した調査によると、トランプ第1期政権が通商拡大法232条(国家安全保障上重要とみなされる輸入品に課される関税)を適用したことにより、鉄鋼とアルミニウムの価格が上昇した。しかし、経済成長と雇用への影響は最小限だった。

民間の独立税制調査機関タックス・ファウンデーションの上級エコノミスト、アレックス・デュランテ氏は、第232条を廃止すれば、最終的には4千人以上の雇用が創出され、長期的にはGDPが0.02%(35億ドル=約5300億円)増加するだろうと述べた。

「関税は輸入品に課せられる税金であり、生産コストを引き上げるため、第232条の関税を撤廃すれば米国経済が強化され、雇用が創出されると我々は予測している」とデュランテ氏は  今春発表した論文で述べた。

カナダの反応

トランプ大統領は日曜日に公開されたフォックスニュースとの事前録画された別のインタビューで、30日間の一時停止に合意した後、カナダとメキシコから関税を回避するのに十分な行動が見られなかったと述べた。

「だめだ、十分ではない」とトランプ氏は司会者のブレット・ベイヤー氏に語った。「何かが起きなければならない。これは持続可能ではない。だから私はそれを変えようとしている」

先週、大統領はカナダとメキシコからのすべての商品に25%の課税を課すという自身の提案を30日間延長することに同意した。カナダの石油、天然ガス、電気の輸入には10%の低い税率が適用される。

カナダのフランソワフィリップ・シャンパーニュ・イノベーション・科学・産業相を含むカナダの高官らは、「カナダの国家、労働者、産業のために立ち上がる」と誓った。

オンタリオ州のダグ・フォード首相はソーシャルメディアプラットフォームXでトランプ大統領を批判し、彼は「ゴールポストを変え」、「絶え間ない混乱」を引き起こしていると書いた。
 

アルミニウムの主要供給州であるケベック州のトップ、フランソワ・ルゴー氏はXで、カナダと米国との自由貿易協定について「できるだけ早く再交渉を始める」ことが重要だと語った。「ケベック州は290万トンのアルミニウムを米国に輸出している。米国の需要の60%だ。米国は中国から買うとでもいうのか?」「この不確実性に終止符を打たなければならない」と彼は書いている。

市場の反応

トランプ大統領が北米の貿易相手国に25%の関税を課すと初めて警告したことで、金融市場に大きなボラティリティが生じたが、米国株は取引週の開始時に上昇していた。主要株価指数は取引開始前に最大0.7%上昇した。

金融市場に関する分析を提供する独立系リサーチ会社、セブンズ・レポート・リサーチの社長兼創設者であるトム・エサイエ氏は、逆風にもかかわらず米国株式市場は上昇を維持できると考えている。

エサイエ氏は大紀元に送った電子メールに「関税の脅威に関するニュースが続いても株価は上昇するだろうか?」「私の答えは『イエス』だが、この市場に残っている強気要因からほぼ全面的に好材料が出ることが必要になるだろう」と記した。

強気要因としては、連邦準備制度理事会(FRB)による継続的な利下げ、安定した経済成長、人工知能への期待、そして『税制改革法(Tax Cuts and Jobs Act)』の延長に対する期待が挙げられる。

「これらすべてが一貫した好意的なニュースとして流れ続ける限り、市場は関税に関するニュースやボラティリティを乗り越えて上昇を続けることができるだろう」とエサイエ氏は語った。

ウォール街は今週、投資家が連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の2日間にわたる議会での演説を注視し、2つの重要なインフレ報告書を消化しながら、忙しい1週間を迎えることになるだろう。

アンドリュー・モランは10年以上にわたり、ビジネス、経済、金融について執筆。「The War on Cash.」の著者。