米アラスカ州選出のダン・サリバン上院議員は2月5日、アジア同盟国に対し、アラスカ州のガス開発計画への支援を求めた。サリバン氏は、同盟国がこのプロジェクトの天然ガスを購入しなければ、中国が主要な買い手となる可能性があると警告した。
アラスカの天然ガスパイプライン計画とは?
この計画は、アラスカ州北部の天然ガス田から南部の港まで約800マイル(1287km)パイプラインを敷設し、アジアに液化天然ガス(LNG)を輸出するというものだ。総事業費は約440億ドル(約6兆6880億円)とされている。
日本の関心と米議員の期待
ロイターによると、サリバン氏は、トランプ大統領が2月7日に石破茂首相との会談で、このプロジェクトに触れる可能性があると述べた。また、アメリカ政府関係者の話として、日本が同計画を支援する可能性を検討しているという。日本は、対米貿易摩擦の回避を図る一環として、トランプ政権への協力姿勢を示したい意向があるとみられる。
サリバン氏はワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)での講演で、「韓国や台湾にとっても大きなチャンスになる」と指摘。「彼ら(アジアの同盟国)は将来を見据えるべきだ。もし関心を示さなければ、我々は他の選択肢を探さざるを得ない」と述べた。
また、「これは私の本意ではない。私はこの天然ガスを中国に売るつもりはない。しかし、中国が主要な買い手として名乗りを上げ、多くの民間企業もこの方向を模索しているのであれば……おそらくそれが我々の進む道となるかもしれない。それでも、私は同盟国との協力を望んでいる」と強調した。
エネルギー安定供給の観点からも重要
サリバン氏は、同盟国がこのプロジェクトに参加することは、対米貿易赤字の削減や、米国との関係強化にもつながると主張。また、長期的な天然ガス購入契約を結ぶことで、「世界最大級の投資家」からの資金調達を容易にできるとし、日本、韓国、台湾による投資を歓迎すると述べた。
トランプ大統領は1月20日の就任初日に、アラスカ州の資源開発を促進する大統領令に署名。その中で、アラスカのLNGを国内外の同盟国へ供給する方針を示した。
このプロジェクトは、1日あたり33億立方フィート(約93億立方メートル)の天然ガスを輸送可能であり、トランプ氏は「アラスカにとっても、エネルギーの安定供給を求めるアジアの同盟国にとっても、双方に利益のある計画だ」と強調した。
日本はすでに十分な液化天然ガス供給を確保しており、2022年のLNG取引量は約3800万トンと、国内消費量の半分を超えている。ただし、アラスカ産LNGの供給は、ロシアや中東などのリスクの高い地域への依存を減らす選択肢となる可能性がある。
石破首相は先週、「日本は化石燃料依存を減らす必要がある」としながらも、「エネルギーの安定供給という観点では、アメリカとの協力について検討する価値がある」と述べた。
関係筋によると、日本側は取引の条件として、価格の柔軟性や再販の許可などを求めているという。
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