「失業した事実を家族に知られたくない、かといって行くところもない…」
そういった特殊なニーズを抱える顧客のために、中国で新たな形態の企業が出現した。その名も「働いているフリ会社(中国語:假裝上班公司)」だ。
利用者は1日30元(約645円)を払えば、「仕事をしているフリ」ができるということで、中国のネット上で話題になっている。
その気になる実態は以下の通り。
一応「商社」ということになっている会社には当然ながら業務はない。仕事時間はあってないようなもので、とりあえずは午前10時から午後5時、しかしタイムカード打刻は不要だ。職場には専用のディスクとイスがあり、しかも有難いことに「ランチ(肉料理2品+野菜料理1品)」までもれなくついてくる。
そして、「会社」は「社員」に仕事を与える「ふり」をするが、これには好きな理由をつけて拒否することもでき、気に入らない場合は書類を社長ディスクに叩きつけることもできる。
さらには「社長」による勤務時間中のサボりチェックまで付いてくる…といった、「給料もらえない、毎日の利用料を自分で払う」以外は、オフィスワークを体験できる好待遇で我がままも通る職場となっているそうだ。
いままでになかった「会社」の出現に、ネット上では物議を醸している。
「1日30元でランチも込み、夏は涼しく冬は暖かい、WiFiまであるのだから、家族に内緒で就活中の場合は最高!」と歓迎する人がいるいっぽうで、「一時家族を騙せても、長くなればお金だって続かない、やはり失業したら家族と相談して現実に向き合わないと」といった声も寄せられている。
なかには、「図書館には『同僚』がいないけど、『(仕事をしているフリの)会社』には同僚がいるから、毎日顔を合わせてるうちに仕事探しの情報交換もできるし、アイディア次第では一緒に創業するチャンスだってある」といった前向きな声も。
「今は収入がないから、コーヒー1杯だって無駄にはできない……」と、スターバックスなどのカフェに代わって、無料で利用できる公共図書館を「避難所」として利用する失業者が増えている。
北京や上海、広東省など多くの都市では、公共図書館が毎日のように「満員」、なかには開館前から長蛇の列ができている。
有料にはなるが、図書館にはない「待遇」を提供する「働いているフリ会社」に市場はあるのだろうか。
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