日米連携強化 ジェトロが米半導体研究開発支援機関と協力開始

2024/12/10
更新: 2024/12/10

ジェトロ(日本貿易振興機構)は9日、米国の半導体研究開発支援機関で非営利法人の「NY CREATES(ニューヨーククリエイツ)」と半導体分野における包括連携の覚書を締結したと発表した。この提携は、日本各地の半導体エコシステムの形成を強化し、国際的な競争力を高めることを目的としている。

今後は、国内地域の半導体エコシステム発展のため、これら地域と米国(特に米ニューヨーク州都オールバニー周辺エリア)の間における研究開発や人材育成などの連携促進を目指すとしている。

提携の内容

今回の提携では、ジェトロとNY CREATESが共同で半導体関連の研究開発、人材育成、技術交流を推進する。両者はそれぞれのリソースやネットワークを活用し、企業や研究機関の連携を強化することで、日米半導体産業の発展を目指す。日本政府は重要物資として11分野を指定しており、半導体はそのうちのひとつだ。サプライチェーンの強化が急がれる。

半導体分野の現況

現在、半導体産業は世界中で重要な役割を果たしており、特にAI、自動運転、IoTなどの先端技術において不可欠だ。半導体サプライチェーンは経済の安定と成長を支える基盤である。いっぽう、半導体産業は、国際的な緊張関係や貿易摩擦、サプライチェーンの集中化による脆弱性など、多くの不確実性に直面している。さらに、サイバーセキュリティの観点からも、半導体サプライチェーンの重要性は増している。安全なチップの確保は国家のセキュリティに直結する問題だ。信頼できるパートナーからの安定供給が求められる。

半導体サプライチェーンの重要性とその脆弱性に対処するためには、サプライチェーンの多様化、生産拠点の分散化、国内生産能力の強化、サイバーセキュリティ対策が必要となる。

また、半導体分野の技術は急速に進化しているため、研究開発に持続的な投資が必要となる。国際的なパートナーシップを築き、共同研究や技術交流、高度人材の育成を行うことが重要だ。

日本はかつて半導体市場で世界の約半分を占めていたが、近年は台湾や米国、韓国にシェアを奪われた。しかし現在は成長軌道に回帰しつつあり、成長が見込まれている。

ジェトロとは?

ジェトロ(Japan External Trade Organization/日本貿易振興機構)は、日本企業の海外進出や外国企業との取引促進を支援する独立行政法人。貿易・投資に関する情報提供やビジネスマッチング、政策提言など、多岐にわたる活動を行っている。

NY CREATESとは?

NY CREATES(New York Center for Research, Economic Advancement, Technology Engineering and Science)は、米国ニューヨーク州都オールバニー(Albany)に所在。ニューヨーク州のハイテク経済を成長させるために、産業指向の研究開発プロジェクトや経済発展プロジェクトを率いる目的で、Empire State Development(ESD)とニューヨーク州立大学の間で結ばれた2019年設立のパートナーシップ。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。