日本版DOGE始動 税制優遇や補助金の無駄を「国民提案募集」で総点検

2025/12/28
更新: 2025/12/28

令和7年11月25日、内閣官房の行政改革・効率化推進事務局内に「租税特別措置・補助金見直し担当室」が設置された。この組織は、メディアや専門家の間で「日本版DOGE(ドーシ)」と呼ばれ、大きな注目を集めている。

米国におけるDOGEとは

「DOGE」とは、第二期トランプ米政権下で創設された「政府効率化省(Department of Government Efficiency)」の略称だ。実業家のイーロン・マスク氏らが率い、政府支出の削減と規制緩和を強力に推し進めることを目的としている。連邦職員の削減など急進的な手法で知られるこの組織の日本版として、今回の新組織を位置づけている。

「日本版DOGE」設置の背景

この組織の設置は、「小さな政府」を志向する日本維新の会の要望を取り入れたものであり、自民党との連立政権の合意文書にも「政府効率化局(仮称)」として明記しており、その主な任務は、政策効果の低い租税特別措置や高額な補助金の総点検を行い、廃止や適正化を進めることだ

租税特別措置・補助金見直し担当大臣には片山さつき財務大臣を任命し、兼務する。

特に見直しの対象として議論するのは以下の点だ。

  • 租税特別措置(租特): 事実上の大企業向け補助金となっている側面が指摘されている。例えば「賃上げ促進税制」は、赤字企業の多い中小・零細企業(全体の約6割)は恩恵を受けにくく、収益の上がる大手企業に偏っているという課題がある。
  • 基金: 新型コロナ禍以降に急増し、2022年度末で16.6兆円に達している。単年度主義の例外として長期的な予算計上を可能にする一方、使途が不明確で無駄が生じやすいと批判されている。
  • 補助金: 企業の自助努力を損なうほどの過度な依存が生じていないか、厳しくチェックする。

令和8年初頭、国民から提案募集

この「日本版DOGE」としての機能を実効性のあるものにするため、政府は令和8年1月5日から2月26日までの間、広く国民から具体的な提案を募集する。

国民は、財務省の報告書(租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書)や「行政事業レビュー見える化サイト」を通じて公開されている各事業の詳細を確認した上で、「どの優遇措置や補助金が無駄か」について直接意見を届けることができる。提出された意見は、関係府省庁と共有され、適正化を検討する際の重要な参考資料となる。

この取り組みにより、長年「聖域」とされてきた特定の税制優遇や、積み上がったままの基金にメスが入ることが期待される。政府はこれらの無駄を削減することで、歳出の抑制だけでなく、企業活動を活性化させ、日本経済の潜在力を高めることを目指している。

内閣官房に設置されたこの新組織は、いわば「政府専用の断捨離(だんしゃり)チーム」だ。

米国のDOGEが強力なリーダーシップで不要なものを削ぎ落とそうとするように、日本版もまた、国民の目(提案)を「センサー」として活用しながら、肥大化した政府支出という「贅肉」を落とし、筋肉質な行財政へと作り変える役割を担っている。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。