アルバニージ首相率いる労働党政権は、西オーストラリア州のエネアバ・レアアース精製プロジェクトに4億7500万豪ドル(約451億2500万円)の追加投資を行うと発表した。
この施設はオーストラリア初の統合型レアアース精製施設とされ、建設中には900人の雇用を生み出し、稼働後には250の安定した高給の職を提供する予定だ。
このプロジェクトは、オーストラリア企業のイルカ・リソースが主導し、政府が運営する「重要鉱物ファシリティ(CMF)」からの支援を受けて実施される。オーストラリア政府は、これが世界的なレアアース供給チェーンの一翼を担い、EVや風力発電、スマホなどに欠かせない重要鉱物を国内で確保する第一歩となるとしている。
アルバニージ首相は、この投資がオーストラリア経済を支える資源産業の成長を後押しし、質の高い雇用を生み出すと強調した。同氏は「『オーストラリアで作る未来』計画と生産税控除を通じて、西オーストラリア州の資源産業を全力で支援していく」と述べた。
労働党政権は近年、サプライチェーンの脱中国化に努めてきた。ドン・ファレル貿易・観光大臣は、再生可能エネルギーの大国を目指す政府の取り組みをアピールし、「気候変動対策だけでなく、高収入で安定した雇用を生み出すチャンスでもある」と語った。
鉱業界との慎重な関係管理
政府は再生可能エネルギーと重要鉱物の推進に努めているが、鉱業界との関係は円滑ではない。
今回の発表は、アルバニージー首相が来年の西オーストラリア州議会選挙を見据え、ターニャ・プリビルセク環境相と緑の党が連邦環境保護庁設立で合意した案を撤回してから1週間後に行われた。
西オーストラリア州のロジャー・クック州首相は、この合意が同州の鉱業セクターに経済的影響を及ぼす可能性があると公然と批判している。
また、オーストラリア鉱物評議会(MCA)も労働党の労働法改革を批判し、原子力エネルギーの禁止解除を求めている。同評議会の報告書では、「供給網全体で価値を引き出すには、生産性の高い労働環境が不可欠だ」と強調している。
野党党首のピーター・ダットン氏は、鉱業セクターの加速を目指し、プロジェクト承認の迅速化や職場法の簡素化を含む大規模な改革を公約に掲げている。
同氏は「鉱業セクターを成長の原動力として活用し、経済の逆風を乗り越える」と述べ、経済再生への意欲を強調している。
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