民主党系の世論調査会社Blueprintが発表した出口調査では、ハリス副大統領が2024年米大統領選で支持を得られなかった理由のトップ3がわかった。
有権者にとって最大の関心事はインフレが高すぎることだった。次いで、バイデン・ハリス政権が「不法移民の流入を許している」こと、「ハリス氏が中間層よりもトランスジェンダー問題などの文化的問題に重点を置きすぎてている」ことが続いた。
この世論調査は、選挙後の2日間に3262人の全米および激戦州の有権者に対し、「なぜハリス氏ではなくトランプ氏に投票したのか」について、理由の重要度を評価してもらった。
インフレ、不法移民問題、ハリス氏のトランスジェンダー関連問題への注力に加えて、さらに多くの有権者が「バイデン・ハリス政権で債務が増加しすぎた」「ハリス氏がバイデン氏と似すぎている」「ハリス氏はさらに多くの不法移民を受け入れる可能性がある」という点を指摘した。特に激戦州の有権者の間で多く挙げられた理由の一つは「民主党が国の運営に失敗した」というものだった。
報告書の筆者は、「ハリス氏は過去や党の制約から逃れられなかった。時間が足りなかったのかもしれないが、それ以上に抜け出すことができない強い束縛にあった」と述べている。
有権者の間で最も関心が低かった要因として、「ハリス氏が親イスラエルすぎる」「保守的すぎる」「バイデン氏と似ていない」といった点が挙げられている。
民主党内では、選挙結果を受けて敗因の指摘や責任の押し付け合いが見られる。ニューヨーク州のトム・スオッツィ下院議員は11月7日、SNSにこのように投稿した。
「今回の選挙で、アメリカ人は自分たちの意見を表明した。民主党は、賃金や福利厚生などの国民が関心を寄せる問題にもっと集中し、ポリティカルコレクトネス(ポリコレ)ばかりを追求するのはやめるべきだ。民主党員は、私たちが大切にしている価値観、つまりアメリカンドリームや公共の安全、善悪の常識を堂々と主張することに対して恐れを抱いている」
同氏は「私たちは、支持層や対抗勢力の政治に振り回されるわけにはいかない」と指摘した。
一方、スオッツィ氏より左よりの民主党員は異なる意見を示している。11月8日に行われたコミュニティ組織のビデオ通話で、進歩派リーダーたちは党内の中道派からの批判に対して「疎外されたコミュニティ」を重視する姿勢を擁護した。
ハイランダー研究教育センターの共同代表アシュリー・ウッドワード・ヘンダーソン氏は、「民主党を中道に寄せる動きに対し、対象を絞った支援を必要とする人々が犠牲になっていることに強い不満を抱く左派の方もいるのではないか」と述べた。
また、進歩派のプラミラ・ジャヤパル下院議員は、ハリス氏の敗北の原因を党の左派勢力や文化的問題に求める声を否定した。「責任のなすり合いはすでに始まっており、進歩派運動への卑劣な攻撃が飛び交っているが、私たち自身もその流れに巻き込まれてはならない」と話した。
Blueprintの出口調査データは、スオッツィ氏のような穏健派の懸念を裏付けるものである。
また、別の民主党系調査会社GQRによる11月6日の調査でも、10月31日から11月5日に実施した800人の全米有権者を対象に実施した調査では、有権者はトランスジェンダー手術やトランスジェンダーの子供がスポーツに参加することへの反対は、今年の投票に影響を与える最も重要でない問題だと位置づけ、4%だった。
Foxニュースの出口調査では、3万人以上の有権者を対象に「政府や社会でのトランスジェンダー権利の支援は行き過ぎた」と回答した人が54%に上り、22%は「適切だった」、22%は「まだ不十分」と回答した。
また、未成年のトランスジェンダーに対する思春期抑制やホルモン療法といった性別関連の医療処置についての回答は、「強く支持する」と「やや支持する」が合わせて47%で、「強く反対する」と「やや反対する」が合わせて52%で、意見はおおむね二分している。
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