経済が悪化の一途をたどり、失業率が高止まりしている中国では、職にありつけない多くの若者が、実家に戻って親の支援に頼っている。
最近、「都市部で奮闘してきた38歳の女性が、老人ホームで暮らしている」という話題が、中国のネットで物議を醸しており、SNSではトレンド入りまでしている。
中国メディアの取材に応じたこの女性(楊さん)は、自身が「老人ホーム」に住み着くまでの経歴について語った。
「私は北京で11年間、脚本家として一生懸命勉強して、働いてきた。去年体調を崩して、北京の病院に1か月間入院し、今でもまだ、仕事に行ける状態にはない」
「病床で自分の過去11年間を振り返ったら、生活の全てが仕事だった。自分がハッピーと無縁だったということに気づいたんだ」
現在、楊さんは故郷の吉林省に戻り、月2000元(約4万円)で食事も寝床も提供してくれる「老人ホーム」に入所して3か月を過ごした。
「38歳で老人ホーム」のニュースが報じられると、「いいな~」「羨ましい」「自分も老人ホーム入所したい!」といった声が殺到した。
「普通に働いて、部屋借りて生活していたらとても2000元では無理だから、老人ホームとはいい選択肢だ」「どこの老人ホームだ? 私は28歳だが、いますぐ入所したい!」という人もいれば、なかには、「この若さで老人ホームに入るなんて、退廃的すぎるのでは?」という声も。
今年に入ってから、雲南省、河南省、重慶、浙江省、安徽省などの中国各地で「青年養老院(若者向け老人ホーム)」がブームになった。だが、そこは従来の「老人ホーム」とは異なり、ストレスや人生に迷いを抱える若者のための「一時の現実逃避所」であった。
雲南省の村(シーサンパンナ・タイ族自治州景洪市曼丟古(ばんちゅうこ)村)で「青年養老院」を創立した盧柏克(ろはくく)さんは、「住宅ローンや自動車ローンなど日々の出費に追われる今時の若者は、プレッシャーがハンパない、みんな窒息しそうだ。人には休息が必要だ。若者は一生懸命闘うだけでなく、バランスの取れた生活を送ることも必要だ。休みが必要な時は休むといい」と語っている。
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