ドイツの消費者向け雑誌『エコテスト』の最新調査によると、Sheinのオンライン通販サイトから購入した衣服製品の約3分の2が品質検査で不合格だった。その中には健康に害を及ぼす可能性のある有害化学物質が含まれている。例として、女児用の衣服からはアンチモン、サンダルからは鉛とカドミウムを検出した。
ドイツのニュースメディア「ドイチェ・ヴェレ」が8月3日にエコテストの報告を引用し報じたところによると、検査された21の製品は、異なる性別や年齢層(女性、男性、青少年、乳幼児)向けの衣服であり、それぞれのカテゴリーから一足ずつ靴も検査した。検査した商品には、乳幼児用の靴、少女用のスカート、大人用の合成皮革ジャケットなどが含まれている。
検査の結果、Sheinの製品の3分の2を「不良」または「不満」と判断した。その中には、質感が劣るポリエステル素材の製品も含まれており、自主的に試着を希望する人はいなかった。
見つかった有害物質の種類と健康への影響
エコテストの報告によれば、検査した製品の一部に、アンチモン、ジメチルホルムアミド、鉛、カドミウム、フタル酸エステルといった有害な化学物質が含まれていることが判明した。
特に、ユニコーンのデザインの女児ワンピースからは、有害なアンチモンが検出されている。アンチモンは汗を通じて皮膚から吸収され、血液に入ることがある。また、あるサンダルには鉛とカドミウムが含まれており、カドミウムが長期間にわたり大量に体に入ると、腎臓や骨に損傷を与える。これらの重金属は体内に蓄積され、健康に悪影響を及ぼす可能性があることが懸念される。
ドイツの野党、キリスト教民主同盟(CDU)の党首フリードリヒ・メルツ氏は6月、中国の通販サイトSheinやTemuに対する規制強化を訴えた。メルツ氏によると、毎日約20万個の小包が中国からドイツへ送られており、これらの商品は検査や関税の対象外である。
Sheinの本社はシンガポールにあり、EU27か国での月間アクティブユーザーは約1億人を超える。しかし、販売する衣類は中国の約5千の工場で製造されている。
Sheinはデザイン盗用で長期にわたり批判されている。また、不法労働や新疆ウイグル自治区の強制労働で生産された綿の使用で人権団体からボイコットされている。
ロイター通信が6月19日に報じた内容によると、Sheinは90件以上の訴訟に直面し、他社のデザインや製品の模倣で告発されている。
SheinとTemuのDSA対応とオンライン安全基準
6月28日、欧州委員会はデジタルサービス法案(DSA)に基づき、中国企業のSheinとTemuに正式な情報開示を要求した。これらの企業はEUから超大型オンラインプラットフォーム(VLOP)と認定され、DSAの遵守状況や具体的な対策に関する情報提供が求められている。
この要求は消費者団体からの苦情に応じたもので、SheinとTemuに2024年7月12日までに必要な情報を提出するよう指示していた。
EUのデジタルサービス法案によると、4500万人以上のユーザーを持つ企業は超大型オンラインプラットフォームと見なされ、違法または有害なコンテンツ、偽造品に対する追加措置を取る義務がある。
そのため、SheinとTemuはDSAの厳格な安全基準を守り、プラットフォーム上の問題コンテンツに対する対策を強化する必要がある。
欧州委員会は、SheinとTemuがオンラインユーザーインターフェースのガイドラインをどのように遵守しているか、特に消費者が不要な購入に誘われたり、気づかないうちに特定のオプションを選択させられるいわゆる「ダークパターン」をどう回避しているかを把握したいと考えている。
Sheinはアメリカでの株式公開が難航した後、ロンドンでの上場計画についてもイギリスの議員や人権団体から疑念を持たれ、企業活動の厳しい審査を求める声が増えている。
6月27日には、ロンドンの裁判所がイギリス政府に対し、中国新疆地方での強制労働が疑われる綿花の輸入についての調査を見直すよう指示した。この判決により、ウイグル人の権利を守る団体が訴訟で勝利を収めた。このような背景の中、イギリスでの株式公開を目前に控えた中国のファストファッション企業Sheinは、強制労働を含む様々な問題で批判されている。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。