中国産のバッテリー価格が原材料価格の下落と過剰生産の影響で急落し、その影響が世界の電気自動車市場にも広がっている。
9日(現地時間)、ブルームバーグ通信によると、過去1年間で中国のリチウム鉄リン酸(LFP)電池セルの価格は、キロワット時(kWh)あたり平均53ドルと51%下落した。同期間の世界平均価格は1kWhあたり95ドルで、中国の平均価格のほぼ2倍に達している。
価格下落の要因
価格下落の要因として、まず原材料価格の急落が挙げられる。原材料価格の中で最大の部分を占める陰極材コストは、中国では昨年初めの50%から今年に入って30%に下落した。
また、過剰生産も電池価格の下落を招いた。中国の製造業者は、激しい市場競争の中で、市場シェアを維持するために大量生産を続けている。すでに世界の電気自動車需要を上回る供給があり、製造業者の倒産が相次いでいるが、過剰生産の傾向はしばらく続く見込みだ。
ブルームバーグのリサーチ機関であるブルームバーグNEF(BNEF)のバッテリーコスト分析によると、現在のリチウムイオン電池の平均価格は製造コストに近い水準に達しており、製造業者はほとんど利益を上げられずに生存競争を繰り広げている。
さらに、技術開発や製造工程の改善も進んでいる。中国最大のバッテリー製造企業である寧徳時代(CATL)と電気自動車メーカーのBYDは、研究開発や生産施設の自動化、工場の拡張に多額の資金を投資している。
これらの要因が複合的に作用し、今後数年間は、バッテリーの低価格が続くとブルームバーグは予測している。
自動車市場への影響
超低価格のバッテリーは自動車市場の再編にも影響を及ぼす。業界によれば、バッテリーセルの価格が1kWhあたり50ドルの水準を維持する場合、価格面での利点により、世界の道路交通手段の電気自動車への転換が加速すると見られている。
現在、中国では高級モデルを除き、市販されている電気自動車の約60%以上が内燃機関車(ガソリン、ディーゼル車など)よりも安価である。2025~2026年には、中国産の低価格電気自動車が各国で、発売されると予想されている。
バッテリー価格の下落が中国産電気自動車の価格を下げるのは事実だが、中国産電気自動車が安価なのは安いバッテリーだけが原因ではない。
欧州連合(EU)は今月初め、中国から輸入される電気自動車に最大37.6%の追加関税を課す決定を下した。中国産電気自動車が安価である背後には、外国の自動車産業に打撃を与えようとする中国政府の補助金支援があると判断したためである。
EUの報道官は「関税の賦課は、欧州の自動車メーカーが不公平な競争環境に置かれている状況に対処するための措置」と述べ、中国共産党政権の不当な措置を批判した。
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