中共、米国留学中のエリートに広報活動の協力を要請=フィナンシャル・タイムズ

2024/07/09
更新: 2024/07/09

英国の「フィナンシャル・タイムズ」によると、中共は米国に滞在する若手専門家たちに対し、コントロールを一層強化し、公式の立場に基づくプロパガンダを展開し、忠実さを示すことを求めていると報じられた。このため、彼らは米国の法律や移民政策に違反する可能性があるというリスクを背負っている。

同紙が7月3日に報じた内容によれば、米中の関係が緊迫化する中で、中共は米国在住の若手専門家たちに対し、更なる協力を求めている。これらの専門家は海外留学や就労前に既に中共に入党しており、現在は党への忠誠とプロパガンダ活動への参加を要請されている。

推定によると、現在米国で学び、働いている中共の党員は約1万人に上り、その中には有名大学の学生やトップ企業で重要な役割を担う人物も含まれている。

「フィナンシャル・タイムズ」によると、米国で学び、働く10人の中共党員へのインタビューで、中共からの指示には、米国人の同僚に中国のポジティブなイメージを植え付けるためのウェブセミナーへの参加、党費の支払い、中国から送られてくる政治資料の勉強、そして共産党の上層部からの定期的な監査を通じて忠誠を示すことが含まれていることが明らかになった。

インタビューに応じた学生の中共党員たちは、指示に従い「中国の長所を伝える」活動を積極的に行っていると語っている。米国で働く党員たちは自らの党員である事実を秘密にしており、特にカリフォルニア州やニューヨーク州のトップクラスの技術企業に勤める25歳から35歳の中国人5人は、今年の採用面接時に共産党員であることを否定したが、実際には以前から中共党員だったという事実が明らかになった。

陳闖創法律事務所の梁少華氏は次のように語る。

「中共は以前からこうした要請を行ってきたが、近頃になってその要求がより強くなっているようだ。これは実際には、海外での中国人や華僑の評判をさらに傷つける結果となっている。中共は海外での影響力拡大を積極的に進めてきたが、今回、多くの一般党員までを動員することで、悪い前例を作ってしまっている。これは、市民が情報を集め、中共のスパイ網の一部となり、場合によってはスパイ行為に及ぶことと同じだ」

これらの党員が中共の指示に従い行動する場合、それは米国の外国の影響を規制する法律に違反する可能性がある。例えば、「外国代理人登録法」(FARA)では、外国の政府や政治家からの要請に応じてプロパガンダ活動をする者は、外国代理人として登録しなければならないと規定されている。

元北京の弁護士でカナダ民主連合会長の頼建平氏は語る。

「『中国のポジティブな側面を伝える』というのは、実際には中共のメッセージを広めることを意味しており、それは中共の独裁体制を世界に拡散することに他ならない。このような活動は米国社会に大きな影響を及ぼし、米国のイデオロギー、価値観、文化に対して共産主義的な影響を潜在的かつ徐々に与えることになる。したがって、米国社会はこの問題に対して厳重に警戒する必要がある」

また、党員であることを隠す行為は、ビザ申請における虚偽の申告や米国の移民法違反に繋がる恐れがある。米市民及び移民サービス局の規則(USCIS)では、「共産党やその他の全体主義政党の党員、関係者、または下部組織のメンバー」はグリーンカードの申請が許可されないとされている。

米中関係の悪化が続く中、中国の若者たちが米国での留学や就職を目指すことは一層難しくなっている。米国在住の中国人専門家たちも、中共からの圧力が増しており、脅迫や誘惑に直面しながらも、米国での法的な問題を避けなければならないというジレンマに立たされている。

梁少華氏は次のように語った。

「海外の多くの中共党員は、党に対する強い信念を持っていない可能性がある。彼らは自分の将来を考えて行動している。しかし、共産党の指示に従い、情報収集やスパイ行為に関与するリスクが生じている。これは当人たちだけでなく、世界中の華人コミュニティにとっても公平ではない。特に米国に住む華人は、二股をかけずに米国の自由を尊重すべきだ」

頼建平氏は次の様に語る。

「米国の華人コミュニティの中には共産党を支持する人もいるが、他の多くの人々はそのような態度を軽蔑し、共産党の行動に対して警戒心を強めている。海外の華人は理性的かつ論理的な独立思考を行い、共産党の独裁的なイデオロギーを正しく理解し、普遍的な価値観を受け入れ、それを中国人への啓発として反映させるべきだ」

この問題は米国に限らず、世界各国で発生している。たとえば昨年、「フィナンシャル・タイムズ」によると、中国の留学生たちが共産党に対する忠誠を誓い、中国大使館へ定期的に報告を行う義務があることから、オランダの安全保障に懸念が生じた。  

このため、オランダの複数の大学では、中国人留学生の科学技術関連の大学院プログラムへの入学を禁止する措置が取られ、さらにオランダ政府は国際学生の背景調査を厳格化した。

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