元検察官 免責判決でトランプ氏の裁判が選挙後に延期されるかも

2024/07/03
更新: 2024/07/03

トランプ前大統領が、3年前に起きた国会議事堂事件で起訴された刑事責任について、1日、アメリカ最高裁は公務に当たる行為に対する免責を認める6対3の判決を下した。これを受け、複数の法律アナリストや元連邦検事は、トランプ氏の裁判は11月の選挙前には行われない可能性が高いとした。

しかし、最高裁は命令の中で、すべての行為が公務に当たるわけではないと指摘し、ジャック・スミス特別検察官がトランプ氏に対する起訴状で詳述した行為のうち、どの行為が公式で、どの行為が非公式かを判断するよう下級裁判所に指示した。判決はまた、トランプ氏は司法省との協議に関わる行為の容疑は「完全に免責」されるとしている。

7月1日の判決を受け、数名の著名な元連邦検事や法学教授は、トランプ氏のワシントンでの裁判はすぐには行われない可能性が高いと示した。

ジョージ・ワシントン大学の法学教授ランドール・エリアソン氏もSNSに「選挙前にワシントンの裁判が行われることはないだろう」と書いた。

エリアソン氏は「起訴状の申し立てのうちどれが免責されるかを判断するために、広範な法廷審問が行われる」と、トランプ氏の2020年選挙後の行動に言及した。

最高裁の判決では、トランプ氏の事件を担当するタニヤ・チュトカン連邦地方判事に、前大統領の行動が「公務」であったかどうかの分析を行うよう求めている。イリノイ州北部地区連邦検事局の元検察官レナート・マリオッティ氏は、おそらく「説明と事実認定が必要になるため、この裁判は選挙後まで延期するだろう」と書いている。

ミシガン州東部地区の元連邦検事で、法律アナリストとしてMSNBCに頻繁に出演しているバーバラ・マククエイド氏は、この事件が地方裁判所に差し戻されたため、11月の選挙後まで裁判は開かれない可能性が高いと指摘した。

その後、アラバマ州北部地区の元連邦検事でMSNBCのアナリストでもあるジョイス・ヴァンス氏は、トランプ前大統領から「さらなる上訴の可能性がある」と書いている。

一方、Foxニュースのアナリストでジョージ・ワシントン大学教授のジョナサン・ターリー氏は、最高裁の判決は「下級裁判所の審理をさらに遅らせることになるが、トランプ氏は自身の行動がこうした指針の範囲内であると主張しなければならないだろう」と書いている。

「下級裁判所の判事はこれまでジャック・スミス氏に非常に好意的だった。しかし、裁判所は、憲法上の基本的権限に関する絶対的免責を超えて、彼らの公的行為には免責の推定がある」と主張している。

トランプ前大統領は最高裁の判決を勝利と称賛し、SNSで「これは我々の憲法と民主主義の勝利」だとし、「アメリカ人であることを誇りに思う」と述べた。

スミス氏は、昨年トランプ氏に対する起訴状が下された後、ワシントンでの選挙事件で特別検察官事務所は「迅速な裁判」を望んでいると頻繁に主張していた。

スミス氏のチームは、2023年8月にチュトカン判事に提出した弁論要旨で、トランプ弁護団が裁判を延期するために提出した以前の主張は、「国民の迅速な裁判を受ける権利を否定するものであり、被告は不適切な統計や事例を挙げ、新たな重複しない証拠の量を誇張し、それを効果的に審査することの難しさを誇張している」と述べた。

4月の最高裁での弁論で、特別検察官事務所の弁護士マイケル・ドレーベン氏は判事らに対し、「大統領は大統領選挙の勝者の認定に関しての機能に何ら関与していない」と述べた。

ドレーベン氏は「だから、『その機能を詐欺で無効にしたり、ぎまんで妨害したり、何百万人もの有権者から、自分が選んだ候補者に投票する権利を奪ったりすることはできない』と言うことが、どうして重大な憲法上の問題になるのか、私には理解しがたい」と付け加えた。

トランプ氏が2024年の選挙に勝利した場合、自身を赦免するか、ワシントンとフロリダの両方で告訴を取り下げるために司法長官を任命する可能性がある。

ソニア・ソトマイヨール判事、エレナ・ケイガン判事、ケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事は多数意見に反対した。ソトマイヨール判事は反対意見で次のように書いた。

「前大統領に刑事免責を与えるという今日の決定は、大統領制度を再構築するものである。これは、誰も法の上にはないという、我々の憲法と政府制度の基礎となる原則をぐろうするものだ」

この事件で、スミスチームは、2020年の選挙後も権力を維持しようとした違法な試みに起因する容疑でトランプ氏を起訴した。トランプ氏は無罪を主張している。

大紀元エポックスタイムズは7月1日にスミス氏の事務所にコメントを求めた。

ニューヨークを拠点とするエポック タイムズの速報記者。