バイデン政権、学生ローン借り手の返済と利子の支払いを一時停止へ

2024/07/01
更新: 2024/07/01

アメリカ政府の新たな学生ローン返済プログラムの主要部分を阻止する裁判所の判決を受けて、バイデン政権は約300万人の借り手に月々の支払い猶予を与える予定だ。

アメリカ教育省によると、この猶予が適用されるのは、所得に応じた返済プログラム「SAVE」に登録している人のうち約300万人である。収入が低いために月々の返済額がゼロになる約450万人のSAVE登録者には、この猶予は対象外となる。

今回の返済猶予は、2020年3月から2023年9月までの3年半にわたって続いたコロナ学生ローン救済措置と似ている。この期間中、月々の請求を支払う必要はなく、利子も発生しないという救済措置と同様だ。

教育省の広報担当者はエポックタイムズに、「新しい返済猶予の対象となる人に、今後数日間で、直接通知する予定だ」と語った。

この発表は、カンザス州判事が、3つの共和党主導の州の司法長官に賛同し、SAVE計画の最終部分の実施をブロックした数日後に行われた。ただし、既に施行されている部分は無効にしなかった。

ブロックされた部分は、7月1日に施行される予定だった「計算式の更新」だ。これにより、学部生ローンの借り主は月々の返済額の上限を可処分所得の10%から5%に引き下げられるようになる。

学部生と大学院生の両方のローンを持つ借り主も、返済額が減少する見込みだ。その額は学部生と大学院生のローン債務の割合に依存する。

ミズーリ州の連邦裁判所の判決では、SAVE の債務免除規定は、同プログラムに異議を唱える訴訟が進む間は保留とした。SAVE計画では、元々1万2千ドル以下のローンで、すでに10年以上の返済期間経過している人対して、債務免除を提供していた。

両訴訟の判事は、何百億ドルものローン債務を免除するために高等教育法を利用するSAVE計画は、法令が許可する範囲を超えていると判断した。

ミズーリ州東部地区のジョン・ロス判事は意見書の中で、「議会はこの法律による債務免除を、バイデン大統領のプログラムのような経済的に広範囲に及ぶものにするつもりはなかった」と述べた。

「裁判所は、法律の文言を未制定の立法趣旨に置き換えることはできない。議会はどのような状況下でローン免除が許可されるかを明確に示している。所得連動返済プランはその一つに過ぎない」

議会予算局の推定によると、SAVE計画は今後10年間で2300億ドルの費用がかかるとしている。また、ペンシルベニア大学ウォートン校の研究者は、同じ10年間で4750億ドルの費用を見積もっている。

この2つの判決を受けて、一部の民主党議員は、差し止め命令によって混乱が生じる可能性があるとして、教育省に影響を受ける借り手に支払い猶予の措置をとるよう要請した。

アヤンナ・プレスリー下院議員は声明で、「この厳しい非難と損害をもたらす訴訟は、既に困難に直面している借り手を更なる混乱へと追い込むだけでなく、彼らが求め、また正当に享受すべき学生ローンの免除をなくし、住宅購入や家族計画の拡大など、彼らの人生の多くの面で前進することを妨げる。バイデン政権は、借り手が約束された学生債務の取消しを受け取ることを確実にするために、直ちに行動を続けなければならない」と述べた。

連邦政府は、学生ローンの債務免除の推進は続けると約束している。

教育省の広報担当は、「バイデン大統領、ハリス副大統領、カルドナ教育長官は、機能不全の学生ローン制度を修復し、より多くのアメリカ人に大学をより手頃なものにするために引き続き尽力していく。彼らは、これまでで最も手頃な返済プランであるSAVE計画を熱心に擁護し、この長らく遅れていた救済策のために戦い続けるだろう」と、エポックタイムズに語った。

教育省によると、41万4千人の借り手がSAVE計画の下で連邦学生ローン債務を免除されている。差し止め命令は、既に提供された免除には影響しない。

Bill Pan
エポックタイムズ記者