米国務省、中国共産党による神韻芸術団抑圧に注目

2024/06/27
更新: 2024/07/26

米国務省は6月26日に発表した年次信仰の自由に関する報告書で、神韻芸術団に対する中国の抑圧行為に焦点を当てた。神韻芸術団はニューヨークを拠点とする芸術団体で、伝統的な中国文化を紹介しながら、中国での人権侵害にも注目している。

報告書には、中国共産党(中共)が複数の国の会場に対して「神韻の公演を拒否するか、既に予定されている公演をキャンセルするよう」圧力をかける戦術を使っていることが記録されている。

報告書は「多くのアーティストが法輪功の修煉者であり、中国伝統舞踊に加え、現代の中国における法輪功修煉者が受けている宗教的迫害を描写する踊りも含まれている」と表記している。

法輪功は、5つの穏やかでゆっくりとした功法と、真、善、忍という原則を中心とした伝統的な精神修煉法である。1999年に、中国共産党は法輪功修煉者を「最大の敵」と宣言し、法輪功を根絶させるために逮捕や拷問を含む全面的な迫害キャンペーンを展開し始めた。

2006年に設立された神韻芸術団は「中共が執政する以前の中国」を現すことを使命としており、以来、中共政府からの標的となっている。同団体は五大陸20か国以上で公演を行っている。巡回中にツアーバスの破壊や中共当局からの圧力による会場の突然キャンセルなど、数々の妨害を経験してきた。

こうした中共からの圧力は、アメリカの密接な同盟国であり、いっぽう中国を最大の貿易相手国とする韓国では比較的に効果的である。

米国務省は大紀元の調査を引用し、在韓国中国大使館の職員が「中国大使館は韓国側に対し、神韻公演に反対する立場を伝えている」と公言していると述べた。このような強硬なキャンペーンに対して、米国当局者はこれまでに何度も懸念を表明してきた。

これらの強制的な行為が明らかになって以来、米国の当局者は複数回にわたり懸念を示している。

2023年11月の米中首脳会談に先立ち、バイデン政権の高官は、中共の「経済的威圧行為」を「非常に有害だ」と評した。

同氏は大紀元の姉妹メディア・新唐人テレビ(NTD)に対し、「これは中国外交の懸念すべき特徴だ」と述べた。

また、「今後、各国が協力してより強靭な体制を築くことが重要だ」とし、「(中国共産党の行為は)グローバル資本主義の円滑な機能に反している」という共通のメッセージを送ることも重要だと強調した。

信仰の自由に関する報告書の発表は、法輪功修煉者に対する強制臓器摘出を行った加害者を罰するための法案である「法輪功保護法案(H.R.4132)」が下院を通過した翌日に行われた。

報告書発表イベントには、法輪功修煉者である張玉華氏も出席した。張氏は、中国の名門大学でロシア語学部の学部長を務めていたが、信仰のために中国の刑務所で合計7年半を過ごし、繰り返し警察の嫌がらせを受けた後、アメリカに亡命した。刑務所の看守は張氏を何日も何週間も立ちっぱなしで睡眠を取らせなかったため、脚や体が腫れ上がり、呼吸困難になった。

2024年6月26日、ワシントンで行われた国務省の信仰の自由に関する報告書発表会に出席した、国際宗教自由大使ラシャド・フセイン氏(左)と法輪功学習者の張玉華氏(張玉華氏提供)

米国信教自由担当特任大使を務めるラシャド・フセイン氏は、報告書の発表に際し、張氏を「勇敢なリーダー」と称賛した。

張氏の夫はまだ中国におり、警察の厳しい監視下に置かれており、中共による法輪功への迫害が始まって以来、合計10年以上の懲役刑を受けている。

張氏は法案の可決と当局者の支援に感謝の意を表明した。

同氏は新唐人テレビに対し、「このような努力は中国の人々にとって一筋の光だ。中国共産党はアメリカ政府の行動を気にしないと言っているが、実際には恐れている」と語った。

超党派の「法輪功保護法案」の主要提案者、共和党のスコット・ペリー議員は、中国で迫害に直面している人々が希望を持ち続けることを望んでいると述べた。同氏は新唐人テレビに対し、「希望を持ち続けることが重要だ。速く進んでいるわけではないが、時間の経過とともに実現しつつある」と語った。

Eva Fu
エポックタイムズのライター。ニューヨークを拠点に、米国政治、米中関係、信教の自由、人権問題について執筆を行う。