中国南部集中豪雨で甚大な被害 洪水の原因は役人のダム放水

2024/06/26
更新: 2024/06/26

中国の一部地域では最近、集中豪雨が災害をもたらしている。特に6月24日には、「杭州の霊隠寺周辺で洪水が発生」というニュースが注目を集めた。同様に、中国南部では豪雨による洪水が続いており、多数のダムで放水作業が実施されている。

6月23日午前10時頃、杭州の霊隠寺近くの飛来峰エリアにある冷泉溪の水位が急上昇した。霊隠寺管理所によると、数日続いた雨が原因で、飛来峰エリアの一部が損害を受けた。その影響で、同エリアは予定より早くその日の午後4時に閉鎖された。

また、中国南部では最近の豪雨で洪水となり、多くのダムで放水されている

6月23日午後2時には、浙江省にある新安江ダムが放水を開始した。翌24日の午前中には、建徳市が9か所での放水に向けた準備を進めていたことが伝えられている。この放水は、新安江ダムが稼働してから8年目に初めて行われた。

湖北省咸寧市で養殖業を営む廖氏は「複数のダムが一斉に放水を開始し、たった10分で水位が1メートル以上急上昇した。そのため、自分たちだけの力では対処が困難になった。1千羽の鶏は救出に成功したが、2万羽以上が死んでしまい、約20万元の損失を被った。残念ながら、保険には加入していなかった」と述べた。

時事評論家、王赫氏は「現在中国で発生している洪水の多くは人為的なものだ。洪水対策を考えると、水利システム全体に問題があると言える。中共は水利事業に毎年多くの予算を割いているが、その資金が十分な成果を生んでいないのが実情だ。これが一つの問題点だ。もう一つは、地方の役人たちが洪水が起きても、自分たちの地域が被害を免れていればそれで満足し、責任を他者に転嫁する傾向にある」と述べた。

この間、福建省上杭(じょうこう)県で大洪水が起こった。村の住民は、6月16日に上流のダムが放水したことで水位が急激に上昇し、家が流され、家族が避難する間もなく、親族を失ったと訴えている。

同日、広西チワン族自治区の桂林市は、過去30年間で最悪の洪水に見舞われた。市内は完全に水没し、鉄道駅も機能停止するほどの甚大な被害が出た。

桂林市の住民の王氏は「これまで何度も洪水に遭遇してきたが、多くはダムが限界を超えて大規模な放水をしたことが原因だ。今回の洪水も、ダムからの放水が原因の一つと思われる」と語る。

水利専門家の王維洛氏は「現在、中国のダム運営において最も重要なのは、運営者がダムを使って利益を追求している点だ。洪水時の放水に関しては、彼らは実施したがらない。なぜなら、放水すると彼らの利益につながる水が失われるからだ。しかし、暴雨が降った際には、ダムと自分たちの安全を守るため、速やかに放水する必要がある。その結果、中国では緊急時に放水が行われることが多く、市民の間では、ダムからの放水が深夜に行われることが多いという経験則がある」と述べた。

 

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