中国 中共はすべての責任を自然災害に押し付ける

人災により洪水発生、専門家が語る

2024/06/23
更新: 2024/06/24

昨今、中国北部(河南省、安徽省、山東省)では深刻な干ばつに見舞われ、いっぽう、南部(広東省、広西省、福建省、浙江省、湖北省、雲南省、安徽省など)では鉄砲水や土砂崩れ、広範囲にわたる洪水が発生している。

南部の大洪水に関する死傷者数について、中国共産党当局は十数人が死亡、数十人が行方不明と公表している。だが、当局は災害が起きるたびに一貫して、被害情報の隠蔽を行っているため、今回の災害による実際の死傷者数や被害状況は、公式発表をはるかに上回る可能性がある。

全国範囲で起きている各種「天災」を前に、政府は何も対策を立てずに、国民は苦しみに喘いでいる。

 

北部

干ばつに喘ぐ北部・安徽省亳州市の農民・王俠さんは「ここ3か月も雨が降っていないので、気温は40度近いし、種まきできず、植えたトウモロコシなどの作物は芽を出さない」という。

「しかしメディアはこの被災状況について一切報じてくれない。田植えがダメならばと出稼ぎ労働をしようと考えるが、そもそも仕事が無くて、ありつけない。このままではどうやって生きて行けばいいのかわからない」と涙ながらに訴えた。

 

南部

いっぽう、南部を襲った深刻な水害に関しては、洪水の背後にあった人災の要素が、注目を集めている。

「水墨画のような風景」が広がり、川下りの名所として知られる南部広西省・桂林市は19日、1998年以来の30年に一度の大洪水に見舞われた。

主要河川が警戒水位を3メートル超え、市街地は断水、停電、鉄道駅も病院も浸水し、多くの市民が孤立した。記者が20日に桂林市に電話をかけてもつながらなかった。

しかしこの日の午後、雨はすでに止んでいた。しかし、水位は突然上昇し、河の水が逆流して町は洪水氾濫となった。

(桂林を襲った洪水)

 

人禍・人災」

桂林を襲ったこの洪水をめぐっては、多くの現地民が「人禍・人災」と口をそろえる。

「上流にある4つのダムが同時に放流をしたからだ。事前の避難警告はなかったし、放流する直前、ようやく緊急避難通知が発令されたが、時は夜中だ、流域住民は避難しようにも到底間に合わない」と訴える現地民の怒りの「告発」が多く寄せられている。

「もし当局が事前に放流することを予告し、そして一気に放流するのではなく少しずつ放流したならば、この水害は本来ならば防げたはずだ」とする非難の声も広がっている。

広西チワン族自治区洪水制御・干ばつ救済指揮弁公室副主任で、応急管理庁副庁長の周運逵氏は、「(洪水)の主な原因は上流にあるダムの水位が限界に達したからで、(水位を維持するために)上流から流れたて来た水の分だけ下流へ放流するしかないんだ」と説明している。

この説明は「洪水はダム放流のせいだ」と認めているようなものだと考える人は多い。

洪水に襲われた桂林市民、2024年6月。(SNSより)

 

「体制的な問題」

ドイツ在住で、中国の水利を知り尽くしている水利専門家である王維洛氏は21日、エポックタイムズの取材に対し、「桂林を襲った洪水はダム放流がもたらしたもので、これは中国共産党の体制的な問題だ」と指摘した。

王氏によると、「習近平の執政以来、ダム1つあたり管理者3人を置いている。しかしこの人たちの給料は国から基本給しか支払われない。つまりボーナスが欲しければ、ダムの運営がもたらす利益で賄うしかない。そのため、ダム管理者たちは常に営利を唯一の目標としている」

「ダム管理者にとって、水はお金儲けのために大事なものだ。彼らにとってダム放流は一番やりたくないことだ。特に桂林は川下りが有名で、一年中通して川の水位を確保する必要がある。水位を確保できれば旅行当局からお金ももらえる。しかし、水を常に貯めているダムは、集中豪雨により水位が急激に高くなった場合、崩壊しないよう、すぐに放流しなければならない」

「そもそも今中国に現存する十万近いダムのうち、老朽化が進み、保守的に見積もっても4分の3は安全ではない。特に桂林の上流に位置する4つのダムはすでに老朽化していて、いつ崩壊してもおかしくないため、崩壊を防ぐために、何かあるとすぐに放流を行う」という。

「全ては一見天災のようにみえるが、実際には人禍・人災だ」

「共産党が無謀に天と地に挑んだ、そのツケであると言える」と王氏は総括した。

桂林の様子。(NTD新唐人テレビより)

 

中国問題専門家で、エポックタイムズのコラムニストでもある王赫氏も王維洛氏と同様の見解を示している。

「中国のほとんどのダムは文化大革命時代につくられたもので、老朽化によりとても危険だ。しかも、中共体制はダムの問題においては厳しく管理しており、問題が発生すればその管理者が責任を負わなければならない。ただでさえ老朽化で危険なダムだ、そこで少しでも水が増えるならば、ダム崩壊を防ぐため、管理者たちはすぐに放流に走る。しかも、その突然の放流はたいていは予告もない。中国で起きた洪水の多くは人為的にもたらされたものだ」

実際、広東省梅州市を襲った大規模洪水を引き起こしたダム放流は「夜中に行われた」と地元民が明かす。通知が来たのは放流30分前だったという。

洪水が引いた後の町の様子、中国広東省梅州市、2024年6月18日撮影。(STR/AFP via Getty Images)

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!