中共と台湾:「パンチ」は遅かれ早かれやってくるが、米軍は介入するのか

2024/06/21
更新: 2024/07/02

共産主義中国は、いつ武力行使するかは分からないが、常に脅迫している。

習近平は昨年11月、米サンフランシスコでバイデン米大統領に対し、平和的な統一を望んでいるとしながらも、その後すぐに武力行使の可能性もあると語った。

今年1月の台湾の総統選挙を前に、中国当局側は、もし頼清徳氏が勝利すれば、「『独立』を煽る邪悪な道を歩み続けるだろう」と警告し、台湾を「平和と繁栄からさらに遠ざけ、戦争と衰退にさらに近づけるだろう」と強く脅迫した。しかし、台湾人の大半は頼氏に台湾の未来を託した。

中国共産党軍が5月に実施した「統合剣2024A」演習は、台湾の有権者が自らの運命を選択した大胆さに対して「罰する」ことを目的としていたが、今後も同様の演習が行われると報じられている。

中共の董軍・国防相は、最近のアジア安全保障会議(通称シャングリラ会合)において、台湾問題に関して妥協の姿勢を全く示さなかった。

アナリストらは、中共が台湾を封鎖し、台湾が屈するまで威嚇し、圧迫し、孤立させ、台湾の沖合の島々を占領し、あるいは台湾全土を奪取するために全面的な運動攻撃を仕掛けるなど、どのような打撃を与えるかについてさまざまなシナリオを提示している。

最悪の事態に備えて計画を立てておくことが賢明だ。

中台戦争の勝敗の決定打は?

中共軍が台湾に向けてミサイルを何発も発射したり、台湾島を取り囲むかたちで演習を行ったりする理由は、軍隊のドリルだけではなく、台北、そして最も重要なワシントンの反応を測っているのだ。

中共軍は、政治的な決断がなされれば、比較的短期間で演習から侵攻に移行できる段階にある。

最新の演習は突如として実施されたようで、わずか45分前に軍に通知されたとの情報もある。

実際の侵攻においても、必ずしも何か月も前に通知されるわけではなく、直前に下達される可能性がある。

そして、中共軍が米国と戦う準備ができるまでに(数か月前に元北大西洋条約機構(NATO)軍最高司令官のジェームズ・スタブリディス氏が主張したように)10年の「猶予期間」があるという考えは、やや希望的観測である。

なぜなら、中共軍の実態を完璧に把握することは極めて困難であるからだ。中国当局は中共軍の肯定的な側面のみを公表し、現地調査や視察も不可能だ。

しかし、最大の弱点は、中共軍が近代において実際に統合・合同作戦を実施したことがない、あるいは実際の戦争をしたことがない点だ。軍事演習を重ねても、実際の戦争においては予測不能な事態が起こりえる。

そのため、中国共産党が台湾をめぐって戦争を始めると決めた場合、それは中国共産党にとって運次第だ。ほとんどの戦争にはこういうところがある。

2022年には、多くの専門家(一部の著名な専門家も含む)が、ロシアのプーチン大統領はウクライナに侵攻する勇気はないだろうと予想し、それを裏付ける「事実」もあったのだが。

彼らはまた間違った。

米軍が介入する可能性はあるか?

中国共産党は半世紀以上にわたり台湾に働きかけ、資産を整備してきた。そして、野党の国民党が最近、立法院で権力を掌握したのは、中国共産党との共謀によるものと思われる。

その後の台湾の人々の抗議活動とそれに伴う混乱は台湾を防衛したい意気込みが強い頼清徳総統にとっては不利な状況だ。

また、台湾で激しい混乱があれば、中国共産党は台湾で事態が制御不能になった場合に行うと明言しているように、侵攻して台湾の「秩序を回復させる」という口実を持つことになる。

台湾の政情不安は、10月7日以前のイスラエル国内の紛争や、2022年にモスクワが侵攻する前のウクライナ国内の政治状況を想起させる。

アメリカの近い将来が不安定に見えることを考えると、習近平は悦に入っているかもしれない。

トランプ前大統領の有罪判決と禁錮刑の可能性などの政情不安により、台湾への攻撃に対するアメリカの全面的な対応は困難になるかもしれない。

さて、米軍による軍事介入の可能性はあるのだろうか?明確に「イエス」と回答できる話ではない。そして、戦闘をするのはおそらく米国だろう。日本は裏で限定的な役割を果たすかもしれないが、それだけだ。フィリピンは米軍がフィリピン領土から作戦活動することを許可するかもしれないが、それ以上のことはできない。フィリピンは、自国の領土を守ることさえ困難を極めている。

全面戦争、場合によっては核戦争が起こる可能性がある場合、バイデン政権は行動する意志があるだろうか?

蓋然的である。しかし、バイデン氏が台湾を防衛すると少なくとも4回発言したとしても、確実なことではない。

中共が台湾に対する「懲罰」と称する訓練を実施したが、米国がどのような対応や処罰をしてきたのかを問うと、深い懸念を表明する以外には何もしていない。

さらに、過去3年以上のことを考えてみてほしい。中共軍の積極性と強硬姿勢は衰えることなく続いている。米国が行った限定的な制裁、さらなる制裁の脅し、関与、対話、この地域への空母派遣など、何一つ中共の動きを鈍らせることはできていない。

北京の指導者らは金正恩をやりたい放題にさせ、ウクライナ侵攻をするロシア軍に臆面もなく支援し、誰が知ろうと気にしていないようだ。そして、代理組織であるハマス、イラン、ベネズエラを支援し、煽っている。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。

退役米海兵隊員であり元外交官、ビジネス・エグゼクティブ。長年にわたりアジア太平洋地域で活動してきた。太平洋海兵隊の情報部予備部長を務めたほか、駐日米国大使館の武官を歴任。安全保障政策センター(Center for Security Policy)の上級顧問を務める。