中国系データセンターが日本国内で増加 「経済安保リスク」に警鐘 = 高市経済安保相

2024/06/19
更新: 2024/06/19

日本で中国企業のデータセンターの建設が増加していることについて、高市早苗経済安保相はこのほど、様々なリスクを孕んでいると警鐘を鳴らした。中国共産党の国家情報法に言及し、安全保障を損なう恐れがある事業者に対して外為法による取り締まりを強化すると強調した。

日本ではデジタル化の急速な進展に伴い、中国や米国をはじめとするデータセンター事業者が進出している。テンセントは2022年6月に日本で3か所目の設置方針を示しており、アリババも同年12月までに3か所目の設置を発表している。

今年4月には、中国のデータセンター事業大手のGDSが都内に40MW規模のデータセンターパークを建設すると発表、2026年の稼働開始を予定している。

進出の背景にあるのは、日本市場でのクラウド事業の成長や、SNSや動画配信サービスの普及、オンラインゲーム産業の顧客拡大などがある。

高市氏は、日本の制度では特定の国や企業を名指しすることはないとしつつ、中国共産党が制定した国家情報法や国防動員法のリスクについて言及。人民や企業に対して国家の情報工作に協力する義務を定める同法は「割と特殊」であるとし、注意深く見極めていくべきだと指摘した。

中国企業が運営するデータセンターの増設による潜在的なリスクとして、高市氏は、情報流出やクラウドの意図的な誤作動による社会的混乱の惹起、日本国内のクラウド事業者の競争力喪失などを挙げ、大きな懸念を示した。

日本の対策が問われるなか、高市氏は外為法による規制は可能だと語る。サイバーセキュリティサービスを提供する企業や、遠隔からのシステム操作を伴うような場合には、外為法のコア業種に該当し、所管官庁によるチェックを受けるべきとの考えを示した。

高市氏は、外為法は所管外であるものの「広義には経済安全保障に関わる」と強調。先月から関係省庁に対して、現行制度の運用の徹底を要請していると語った。

さらに、悪質性の高い届出違反が発見された場合には、行政指導による警告に加え、罰則の適用といった厳格な対応を取るよう求めているという。

政治・安全保障担当記者。金融機関勤務を経て、エポックタイムズに入社。社会問題や国際報道も取り扱う。閣僚経験者や国会議員、学者、軍人、インフルエンサー、民主活動家などに対する取材経験を持つ。