なぜこれほど多くの偽求人情報が存在するのか?

2024/06/19
更新: 2024/06/19

近年、労働市場には偽求人情報が溢れており、その真相が徐々に明らかになってきた。ジャーナリストであるオータム・スプレデマン氏の調査によると、オンラインで見かける求人情報の約半数が実際には偽ものであるという。Clarify Capitalの調査によれば、これらの求人情報は短期的には雇用を予定しておらず、ただ注目を集めるためだけに存在している。

(Source: BLS, Zerohedge)

労働市場で職を探している人なら、応募した求人に全く返答がない、もしくは数週間後に拒否されたという経験をしたことがあるだろう。そしてその後、その求人が依然として掲載されているのを見つけることがある。このような現象は疑問を呼び起こし、不信感を抱かせる。

スプレデマン氏の調査は、これが実際に起こっていることを記録し、その理由を明らかにしようとしている。管理者は「偽の求人情報」を使って、将来のポジションに備えた候補者を確保し、現有の従業員にプレッシャーをかける手段として利用している。また、成長しているという企業のイメージを作り上げることで、資金調達や評価を高める狙いもある。

労働市場の供給側には大きな問題があるが、需要側にも同様の問題が存在する。多くの求職者が実際には職を探しておらず、失業給付の要件を満たすために応募しているだけのケースも多い。Indeed.comへの応募は、求職活動の証明として利用されることが多い。

もし労働市場の供給側と需要側の両方がこのような虚偽の行動で溢れているとしたら、私たちは非常に奇妙な状況に直面していると言えるだろう。数年前、米連邦準備制度理事会(FRB)はIndeedの求人情報指数を使って労働市場の状況を把握しようとしたが、この方法も現在では無効になっている。

労働統計局(BLS)が発表する雇用報告書では、家庭調査と機関調査の2つのデータソースがある。数十年間、これらのデータはほぼ一致していたが、最近では大きな乖離が見られるようになった。機関調査では雇用率の上昇が示されている一方で、家庭調査では雇用数が減少している。この矛盾は、フルタイムの仕事を失った人々が複数のパートタイムの仕事を掛け持ちしていることによるものである。

経済学者のEJ・アントーニ氏は最新のデータについて、「全体の雇用者数は27万2千人増加したが、家庭調査では40万8千人減少しており、両者の乖離は前例のないものとなっている。過去6か月間で雇用水準は78万3千人減少している」と指摘している。

 

このような状況下で、求職者は何を信じるべきか? 最も確実な方法は、直接マネージャーや経営者と対面で話すことだろう。デジタル世界が私たちに提供する情報の信頼性が低下している今、直接のコミュニケーションが再び重要となっている。

また、電話を使って直接問い合わせる方法もある。これは、FRBに労働市場の修正を期待するよりも効果的である。言語能力が高ければ、他の求職者よりも有利に立てるかもしれない。

このように、現代の労働市場における虚偽の情報の氾濫は、求職者にとって大きな課題となっている。私たちは、過去の求職方法に立ち返ることで、より確実な仕事探しを行うべき時代に来ているのかもしれない。

 

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
ブラウンストーン・インスティテュートの創設者。著書に「右翼の集団主義」(Right-Wing Collectivism: The Other Threat to Liberty)がある。