中国当局は5月下旬以降、いわゆる「手入れ」を名目とした大規模な電動バイクの取り締まり行動を展開している。
5月23日は夜間特別行動が行われ、この日だけで25万人の警察を投入した。30万台近い電動バイクを一夜のうちに「一掃」し、国民の不満が爆発しそうだ。
官製メディアいわく、「新基準は、時速25キロ以下、重量55キロ以下でなければ不適合」および「無断駐輪・充電」の電動バイクが取り締まり対象となっている。しかし、実際のところはどうか。
市民によると、「ラインの中に駐車していなかったり、乱雑にとめていたというだけで、電動バイクを取られてしまう。しかも、切符すら切ってくれない」という。「これでは強盗と同じだ。全て違法操作だ」と市民の怒りは強い。
「市民が乗る電動バイクは基本的に販売店で購入しているもの。それが当局の言う『基準を満たしていない』というのならば、市民の手に渡ったものではなく、販売店を取り締まればいいだろう? なぜ販売店に販売許可を与えているのか?」とった反発が市民の間で根強い。
関連ニュースをめぐり、SNS上では、「なんだかんだいって、結局はカネだ。電動バイクを一度買えば8年も10年も乗るだろう。そうなると、路線バスや地下鉄、シェアバイクなどに乗る人が減るし、新しい電動バイクも売れない。だから、いま乗っている電動バイクを取り上げるのだろう」
「電動バイクを取り締まるのは利益のため、失踪人問題を取り締まらないのも利益のため」「当局が電動バイクを取り締まるのと同じくらいの本気を出せば、失踪人などすぐに見つかるのに」との嘆きも少なくない。
バイク取り締まりの真の動機は?
中国各地の地方政府は窮迫する財政の足しにするため、あらゆる種類の「罰金取り」に躍起になっているのだろう。
そのなかで、免許なしで運転できる電動自転車や電動バイクへの取り締まりが強化されており、「交通安全」の旗印のもとで、故意に罰金取りが行われている。
とにかく一枚でも多く「違反キップ」を切るため、血なまこになった交通警察が街中をうようよしているという。
しかし、多くの低層に生きる中国市民にとって、電動バイクは彼らの「足」であり、生活に欠かせないものだ。
市民から暴力的にバイクを取り上げる交通警察の様子やバイクを取られまいと交通警察に立ち向かう市民の姿を捉えた動画は、時折SNSにも流出しており、大きな社会問題になっている。
なかには「バイク」を仕事として使うフードデリバリー配達員が交通警察にひざまずいて「バイクを取り上げないで」と懇願するシーンも各地で捉えられている。
政府がなぜ電動バイクの取り締まりに躍起になっているのか? このことに関しては「収益を上げるため」、「新車を買わせるため」などとネットでは熱く議論されている。
そんななか、北京などで最近、「シェア・電動バイク」ビジネスが始まったことで、SNS上では「市民の電動バイクの取締りは富裕層や権力者たちの、このビジネスのせいだったのでは」という憶測も広がっている。
「真の動機」が何であるにせよ、一部交通警察が、市民から取り上げた電動バイクをそのまま「中古屋」に持ち込んで換金したり、あるいは東南アジアやアフリカに「輸出」して稼いでいることは中国市民の「周知の事実」だ。市民の間で不満が渦巻いている。
そうするなか、一部の地域では、「シェア・電動バイク」を破壊する事件が起きている。当局に電動バイクを取られた市民による「復讐」とされている。
(若い市民が乗る電動バイクを取り上げようとして、暴力を振るう交通警察に立ち向かう周囲の民衆)
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