18歳未満への二次性徴抑制ホルモンの処方禁止 = 英国政府

2024/06/03
更新: 2024/06/03

英国政府は、クリニックが18歳未満の未成年者に二次性徴抑制ホルモン(英名: Puberty Blockers)を処方することを禁止することを発表した。この措置は、これらの薬物へのアクセスの「抜け穴」を閉じるものとして支持者から称賛されている。

英国保健社会福祉省(DHSC)は水曜日に、英国、欧州経済領域、およびスイスで登録されている二次性徴抑制ホルモンの処方行為に対して3か月間の緊急禁止措置を実施すると発表した。この禁止措置は、イングランド、ウェールズ、およびスコットランドの未成年者に適用され、6月3日に発効し、9月3日まで続く。

英国保健社会福祉省は、この禁止措置は「公共の安全リスクに対処するため」の緊急措置であると述べている。さらに、国民保健サービス(NHS)内部でも二次性徴抑制ホルモンの処方に対して「無期限の制限」を実施している。

保健大臣のヴィクトリア・アトキンス(Victoria Mary Atkins)氏は、Xでこの措置を発表し、「今日、私は子供たちの安全を守るために果断な行動を取りました。独立審査報告書の提言に基づき、緊急権限を使用して、民間クリニックおよび海外の処方者が英国で新たな二次性徴抑制ホルモン治療を提供することを禁止しました」と述べた。

アトキンス氏はさらに、国民保健サービスの処方にも同様の制限措置を講じ、既存の抜け穴をさらに閉じると付け加えた。

民間クリニックの抜け穴への懸念

今年4月に発表された独立審査報告書は、国民保健サービスの医療提供者が、性別に関して混乱している子供たちを、薬物や手術を含む不適切な医療手段に導いていると批判している。

報告書の著者であるヒラリー・カス博士(Dr. Hilary Cass)は、性別不安の治療には「包括的な」アプローチが必要であり、子供が選んだ性別を単に肯定するだけではなく、二次性徴抑制ホルモン、交差性ホルモン(男性化/女性化ホルモン:交差性ホルモン)、最終的には手術介入に至る一般的な方法に依存しないことを提案している。

この重要なレビューが完了した後、イングランドとスコットランドの保健当局は、二次性徴抑制ホルモンの処方を停止した。しかし、民間クリニックが引き続き子供たちにこれらの薬物を提供できることが警告されている。

トランスジェンダートレンド」組織のリーダーであるステファニー・デイビス-アライ(Stephanie Davies-Arai)氏は、政府の発表を歓迎すると述べている。彼女は「エポックタイムズ」に対し、この措置は「二次性徴抑制ホルモンの抜け穴を閉じる」と述べた。

デイビス-アライ氏は、政府が「これらの薬物が英国の薬局を通じて流通するのを防ぐためにできる限りのことをしている」と述べ、闇市でこれらの薬物を入手する方法は依然として存在するものの、全体的には二次性徴抑制ホルモンの入手が「より困難になる」と付け加えた。

交差性ホルモン

「トランスジェンダートレンド」のリーダーは、16歳以上の人々が、国民保健サービスと民間クリニックで男性化/女性化ホルモン(交差性ホルモン)を入手できることに対する懸念も表明している。独立審査報告書は、これらのホルモンは「非常に慎重に」処方されるべきであると提言している。

交差性ホルモンは、不妊症、女性の男性型脱毛、低い声などの一連の健康問題や永久的な身体変化を引き起こす可能性がある。男性にとっては、血栓や心血管疾患のリスクが増加することが知られている。

デイビス-アライ氏は、二次性徴抑制ホルモンの禁止は重要な一歩であるが、「青少年が交差性ホルモンを入手し続ける場合、これらのホルモンは、彼らに一生を通じて影響を与えるだろう——既知のものもあれば未知のものもある、なぜならこの分野はまだ非常に新しいからだ」と述べた。

独立審査報告書によると、国民保健サービスは、交差性ホルモンの処方を再検討する予定である。スコットランドの保健サービス機関は、18歳未満の性別不安患者に対して、交差性ホルモンを処方しないことを表明している。

影響を受けやすい17〜25歳のグループ

独立審査報告書のきっかけは、性別アイデンティティ発展サービスセンター(現在閉鎖されているロンドンのタビストック&ポートマンNHS財団トラストが運営)の紹介数の急増であり、このセンターは性別不安を抱える子供や青年を専門に扱っていた。

カス博士のレビューは、年長の青少年や若い成人に対する支援策についても検討している。レビューは、NHSイングランドが17〜25歳の患者に対して、連続的なサービスを提供することを、確保するよう提案している。この期間は「患者の旅路の中で脆弱な段階」である可能性があるからだ。

デイビス-アライ氏は、この年齢層の支援策について懸念を表明し、この段階の若者は「非常に脆弱」であり、特に彼らが成人になる過程で初めて家を離れることが多いと述べた。

彼女は、この世代は特に性別理論を教えられており、「生物学的な性別は重要でない」と信じ、性別変更が「容赦なく若者に売り込まれている」と付け加えた。

この段階の若者は法律上は成人であるが、デイビス-アライ氏は「このような実験的な治療については、まだ知識を持って同意するには若すぎる」と考えている。

「成人クリニックは民間クリニックに似ており、性別肯定に基づき、『性別肯定ケア』を提供している。若者の苦しみの背後にある理由についての探求は十分ではない」と彼女は警告した。

彼女は、タビストック*から出てきた多くの若者が、医療専門家によって探求されていない他の潜在的な問題を抱えている可能性があると警告した。これには、性指向に苦しむ同性愛やレズビアンの若者、精神健康問題、トラウマ、あるいは養護システムでの経験などが含まれる。

*英国における精神分析理論の拠点の一つとしても知られている[6]精神病理学臨床心理学の分野で著名なタビストック・クリニックは研究所の母体である。

先月、「エポックタイムズ」は、20代で性別適合手術を受け、女性として生活しようとしたデトランジショナーのリッチ・ヘロン氏にインタビューした。彼は、脆弱な成人を保護するために、成人性別サービスの改革を訴え、包括的な心理評価と必要な支援を確保するよう求めている。

ヘロン氏は自閉症と強迫性障害を患っており、心理学者が彼を薬物と手術の道に進ませる前に、彼の精神健康問題や同性愛としての自己受容の葛藤、自閉症の状態を評価していなかったと述べた。