新しい生活:持ち家は賃貸よりも本当に良いのだろうか?

2024/05/21
更新: 2024/05/21

第二次世界大戦後、マイホームを持つことは、アメリカンドリームの象徴となっていた。結婚後すぐに家を購入し、家庭を築くことが一般的とされていた。連邦政府は住宅ローンを保証し、この理想を支えるために、様々なプロジェクトを立ち上げた。しかし、このアプローチは2008年の住宅危機により、行き過ぎた結果を招いてしまった。この危機以降、不動産所有の概念は多くの人にとってリスクが高いものとなっている。

2008年の金融危機前、アメリカの自宅所有率はピークに達していた。その後、経済刺激策によって一時的に反発したものの、再び低下していた。住宅購入者の平均年齢も1981年の29歳から2023年には35歳へと上昇している。2021年以降のポストパンデミック経済では、金利の上昇と住宅価格の高騰により、非常に裕福な人しか住宅を購入できなくなっている。

現在、賃貸物件やアパートへの投資が住宅建設を上回り、裕福な買い手によって市場に出回る住宅はすぐに買い占められている。住宅を所有している一般の人、特に5年以上の固定金利住宅ローンを持つ人は、高額な固定資産税を支払い続けなければならず、多くの人が自分の家に縛られていると、感じているのだ。高騰する価格、急上昇する金利の市場では、再び家を購入するのが難しくなっているということだ。

賃貸には、インフレが反映される不安はあるが、持ち家も同様の問題を抱えている。特に持ち家が職業の流動性を制限する現在では、持ち家が賃貸よりも本当に良いかどうかは明らかではない。「ニューヨーク・タイムズ」は、買うべきか借りるべきかを判断するための新しい計算ツールを提供しているが、結論は明白である。裕福な家庭を除けば、賃貸がより良い選択肢となっているという。

賃貸が未来のトレンドであり、アメリカ文化の大きな変化を示している。産業の変化により、専門職は流動性を必要とし、家を持つことの意味が根本的に変わっている。50年前と比べて、今日の大多数の人は遊牧民のような生活をしている。

数年前、私はテキサス州中部の小さな町で、不動産オークションを見つけた。そこには75年間使われてきた巨大な家具が並んでいた。家主が亡くなり、三世代目の子供たちは家具を欲しがらず、Craigslist(毎月200万件以上の求人広告が登録される世界最大手の求人サイト)の広告を見た顧客によって選ばれていた。

大きな本棚やダイニングセット、寝室の重いクローゼットなどは誰も買おうとしなかった。これらの家具はその家のために作られ、何世代にもわたって使われることを期待されていたが、今の時代には適していなかった。現代のアメリカの家主や賃貸人が、これらの家具を持ちたいとは思わないだろう。

現代の家庭用家具の新しいモデルは、当然ながらIKEAである。IKEAの家具は引っ越しが容易で、経済的に合理的である。大多数のアパートに適した家具は、引っ越しの際に梱包して運ぶ必要がない。むしろ市場で売るか、ゴミ箱のそばに置くのが最適である。これは家具業界の大きな変化を指摘しているだけでなく、アメリカ文化の大きな変化を示している。

確かに、国営の住宅は、資金力のある機関によって買い占められ、これらの機関が市場に賃貸しているという話がある。同じ機関が大企業や大金融と協力して、経済生活の集中化を進めている。私たち残りの人は、「他人の家」で生活し、所有することなく毎月の請求書を支払うことになるだろうということだ。

私たちは、戦後の「誰もが家を持つ」という理想から遠く離れてしまった。これは、繁栄が、私たちから遠ざかっていることを示す象徴である。

もし家庭のために買い物をしたり、請求書の支払いを担当したりしているなら、これに気づくだろう。今日、家庭はあらゆる面で圧迫されている。賃貸が購入に代わる未来のトレンドであり、これはすべてが以前と同じではないことを示す明白な兆候の一つに過ぎない。

 

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
ブラウンストーン・インスティテュートの創設者。著書に「右翼の集団主義」(Right-Wing Collectivism: The Other Threat to Liberty)がある。