レイモンド米商務長官、中国が台湾TSMCを掌握すれば壊滅的な影響

2024/05/09
更新: 2024/05/09

2024年5月8日、ジーナ・レイモンド米商務長官は、中国が台湾に侵攻し、半導体製造大手TSMCを掌握する事態が生じた場合、アメリカ経済に「絶対に壊滅的な」影響が及ぶと述べた。

レイモンド長官は下院公聴会で、中国共産党による台湾侵攻が与える影響について質問された際、「絶対に壊滅的な影響がある」と回答。しかし、具体的なシナリオや予測される事態についての詳細は控えた。

「アメリカで使われる高度なチップの92%は台湾のTSMCから供給されている」と彼女は説明した。

4月、レイモンド長官はアメリカ商務省がTSMCの米法人に対し66億ドルの補助金を提供し、アリゾナ州フェニックスでの先端チップ製造に投資するほか、最大50億ドルの低利融資も実施する予定であると明かした。

さらに、TSMCは新たに250~650億ドルを投じ、2030年までにアリゾナ州で3つ目の半導体工場を建設する計画を発表した。

TSMCはアリゾナ州の第2工場で、世界をリードする2ナノメートルプロセス技術を用いたチップの生産を計画しており、2028年には量産を開始する見通しである。

TSMCはAppleやNVIDIAなど主要企業にチップを供給する世界最大級のファウンドリ企業であり、アメリカ国内での最初の工場は2025年初めに稼働し、フル生産に入る予定である。

*ファウンドリ:半導体製造の「前工程」と呼ばれる前半の工程の作業を請け負い、顧客の設計データに基づいた受託生産をする会社の業界

2022年、アメリカ議会は「チップと科学法案」を成立させ、半導体の国内製造を推進しアジアへの依存を減らすため、研究開発と製造支援に527億ドルの助成金を割り当てた。さらに、政府による750億ドルの融資枠も設けた。

2023年のアメリカ政府報告によれば、台湾の主要半導体製造が停止した場合、アメリカ国内でのチップ価格が最大59%上昇し、下流企業に大きな経済的影響を与える可能性がある。

 

 

林燕