1月6日議事堂事件にFBIなどエージェント50人関与:裁判資料(下)

2024/05/09
更新: 2024/05/09

※【関連記事】1月6日議事堂事件にFBIなどエージェント50人関与:裁判資料(上)からのつづき

カンザス州トピカ出身の被告、ウィリアム・ポープ氏は、政府は情報を隠し、意図的にセキュリティを弱めることで洪水が起こり得る状況を作り出したと指摘している。FBI、議会警察、メトロポリタン警察、国土安全保障省、そして国防総省の失策が2021年1月6日に起こった事態を招いたと語った。

「これらの失敗がなければ、私は議事堂の敷地が一般に開放されているとは思わなかっただろうし、議事堂への立ち入りも、告発もなかっただろう。これらの失敗は、政府の非道な行為の結果であり、1月6日に起訴された何百人ものアメリカ人を罠にかける結果となった」

ポープ氏は1973年の最高裁判例、米国対ラッセル事件を引用した。最高裁はこの判例で、「法執行官の行為があまりにも非道であるため、デュー・プロセス(適正手続)の原則により、政府が有罪判決を得るために司法手続を発動することが、絶対的に禁止されるような状況に、いつの日か直面するかもしれない」と書いた。

ポープ氏は、「2021年1月6日に議会議事堂での政府の存在と関与の範囲および性質は『普遍的な正義感に衝撃を与える』ものであり、第5修正条項のデュー・プロセス条項によって要求される『基本的な公正』に違反している」と述べた。

米海軍、兵士に1月6日のデモ参加を禁止

ポープ氏によると、米海軍は通常の隊員に対して、トランプ前大統領の1月6日の演説に出席しないよう指示した。その根拠として「アメリカ対デビッド・エリザルデ事件」に提出された海軍のメールを引用した。

アメリカ海軍の下士官であるデビッド・エリザルデ氏(47)は、2023年12月の裁判で、2021年1月6日に議会議事堂での行進、デモ、またはピケット行為に関与したとして軽犯罪で有罪判決を受けた。彼は4月19日に自宅軟禁30日および2500ドルの罰金を言い渡された。

ポープ氏は「海軍が通常ではない措置として、一般兵士に対して1月6日に行われた指揮官の演説への出席や、第1修正条項に基づく活動への参加を禁じた事実は、2021年1月6日の出来事が通常のものではないと、予見されていたことを示している」と指摘した。

同氏はさらに、「海軍がこの警告を自らの隊員にのみ伝え、一般市民には伝えなかったことは、政府の不当な行為の証拠である」と述べた。

ポープ氏は2022年のニューズウィークの報道を引用し、FBIの指揮の下で、精鋭コマンド部隊が1月6日に議会議事堂に派遣されたと述べた。この動きは、警察の支援に国民警備隊を議事堂に派遣する際の大幅な遅れとは、対照的だった。

ポープ氏は「国防総省が1月6日に国民警備隊の派遣を何時間も遅らせ、その事実を隠そうとしたことを考えると、エリート部隊のこのような異例の展開はさらに不可解だ」と指摘した。

最近の議会での公聴会では、「ワシントン国民警備隊の高官らが1月6日に議事堂への即時展開の準備が整っていたにも関わらず、チャールズ・フリン将軍とウォルター・ピアット将軍が展開を妨げ、事実を偽っていた」と証言した。

ポープ氏はまた、「国防総省は特殊部隊を派遣し、海軍の隊員に1月6日の抗議活動を避けるよう警告するだけの情報を持っていたようだが、情報に基づく運用姿勢からすると、起こったことを完全に防ぐというよりも、私のような普通のアメリカ人に対して、罠を仕掛けることを許容していたことが示されている」と述べた。

1月6日に勤務していた連邦職員について、ポープ氏はコロラド州出身で、アメリカ陸軍の対情報特別捜査官、FBIの合同テロ対策部隊のメンバーであるチャールズ・ロバートソン氏のケースを引用した。

ロバートソン氏は、コロラド州ペイトンに住むレベッカ・ラブレンツ氏(71)の事件で、FBIの事実陳述書を書いた。ラブレンツ氏は4月4日、陪審員によって、1月6日に国会議事堂に入った4つの不法侵入関連軽犯罪で有罪判決を受けた。

ポープ氏の申し立ては、行政監視団体「ジュディシャル・ウォッチ」の最近の情報開示に言及している。それによると、中央情報局(CIA)は、1月6日に民主党全国委員会で発見されたパイプ爆弾に対処するために、2名の爆発物技術者を派遣した。アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局(ATF)から取得されたテキストメッセージには、「1月6日には複数のCIA爆発物探知犬チームが待機していた」と記されている。

ポープ氏は、メトロポリタン警察の潜入警察官が「議事堂の階段を上がるよう繰り返し促したり、フェンス撤去を行った人々に感謝の意を示したり、窓を破壊した人々を称賛したりする」など、とんでもない行動を指摘した。

同氏によると、司法省は、警視庁の電子監視ユニットで働く二十数人の潜入捜査官から、完全な証拠開示をしていない。ポープ氏が要求しているにも関わらず、ビデオや写真、捜査報告書などが未だに提供されていない。

ポープ氏は「政府がこれらの資料の提出に3年以上もかかり、さらに多くの資料を隠し続けているのは極めて憂慮すべき事態だ」と記している。また、「このような遅延は、私が提唱するレインドロップ理論に基づく戦略の解明を妨げており、裁判所は政府によるさらなる遅延を許容すべきではない」と指摘した。

 

大紀元記者。2021年1月6日の連邦議事堂侵入事件とその後の影響、およびウィスコンシン州のニュース全般を中心に担当している。2022年には、1月6日の事件に関する大紀元の特別調査報道『あの日、米議会議事堂で何が起こったのか(The Real Story of Jan.6)』の制作に携わった。40年近くジャーナリストとして活躍している。