アメリカ社会 被告が申立て「議事堂にいた全員を罠にかけた」

1月6日議事堂事件にFBIなどエージェント50人関与:裁判資料(上)

2024/05/09
更新: 2024/05/09

新たな裁判所の提出資料によると、2021年1月6日に勤務していたFBI特別捜査官や合同テロ対策タスクフォース(JTTF)のメンバーは約50名に上り、その中には米陸軍の対情報要員、国土安全保障省および海軍犯罪捜査局(NCIS)の職員も含まれていた。これらの人々は、後に連邦政府に1月6日の犯罪事件に関する宣誓供述書を提出した。

カンザス州トピカ出身の被告、ウィリアム・ポープ氏の申立てによると、これらの捜査官の多くは、その日に起こった抗議行動と違反行為の間、連邦議会議事堂の敷地内にいたという。

ポープ氏は、多数の連邦捜査官が存在していれば、警察がより積極的なセキュリティ対策を取るべきであり、そうすれば暴力事件を防ぎ、後に1400人近くを刑事事件として立件する必要もなかっただろうと書いた。

「…1月6日およびそれ以前の政府の行動は、あまりに非道で衝撃的なものだ。素因のいかんにかかわらず、議事堂にいたすべての人々を陥れるものだった」

元米国議会議事堂警察長官のスティーブン・サンド氏によると、FBIは収集した情報をすべてサンド氏と共有したわけではないと述べた。同氏は下院の委員会で、「1月6日の情報収集に失敗した」と語った。

FBIの合同テロ対策タスクフォースに所属する約50人のFBI特別捜査官および他の職員のリストを作成し、彼らが1月6日に勤務していたことを刑事訴追文書で示した。

申立書のリストにはコロラド州出身の米陸軍防諜捜査官、NCIS特別捜査官、ニューヨーク、ナッシュビル、メンフィス、ニューアーク、フィラデルフィア、ニューヨーク州オルバニーのFBI特別捜査官、国土安全保障省連邦防護局の捜査官が含まれていると記された。

ポープ氏は、「FBIが1月6日に議会議事堂に大規模なプレゼンスを持っていたことについて、今や十分な証拠が存在し、他の機関と共有されなかった情報があったという事実を考えると、さらに警戒すべきだ」と記述した。コントレラス判事に対し、1月6日のFBI潜入捜査官や他の法執行機関の活動に関する情報開示請求の再考を求めた。「これは許しがたい政府行為だ」と指摘した。

米司法省はポープ氏の申し立てに対して回答していない。司法省は、裁判所の提出文書以外で事件についてコメントしないという長年の方針をとっている。

エポックタイムズはFBIにメールで、1月6日に議会議事堂にいた人員の見積もりを求めた。FBI国立プレスオフィスは「その情報を提供することはできない」と返答した。

ポープ氏は、「1月6日には、他の何百人ものFBI捜査官も勤務中であった可能性が高いが、勤務中であることを公にしていない」と述べた。

レインドロップ(忍びこんでいた静かな扇動者)理論

ポープ氏は、自分の刑事裁判の防御戦略の一環として、アメリカ司法省がしばしば用いる物議を醸す「レインドロップ理論」の変形を使用する意向を示した。議事堂にいたデモ参加者一人一人が暴力を引き起こし、議会合同会議による選挙人団の開票を遅らせるような状況を作り出す手助けをしたと主張する予定だ。

ポープ氏は、FBIやその他の機関は、より広範な警備を敷き、侵入や暴力を防ぐことができたであろう情報に基づいて行動しなかったとして、議事堂に潜入していた連邦捜査官らが「レインドロップ」として、議事堂での混乱に責任があると主張した。

ポープ氏は32ページに及ぶ申立てで、FBIや他の機関が、議事堂のセキュリティ体制を変更せずに多数の捜査官を配置したことで、「驚くべき政府の行為」により、実質的な罠を作り出したと述べている。

4月23日、コントレラス判事は、FBIのおとり捜査官と警視庁の電子監視ユニットのメンバーに関する情報開示を求めたポープ氏の7件の申し立てを却下した。同判事は、「被告は政府に要求された資料を提出する義務があることを証明できなかった」と検察側を支持した。

ポープ氏の新たな申し立ては、コントレラス判事に対し、新たな情報に基づいて判断を再考するよう求めている。

ポープ氏は、「『レインドロップ理論』を法的抗弁として取り入れていると述べた。情報機関は重要な情報を持ちながらも、セキュリティ姿勢を変更しなかったため、現場を洪水状態にする条件が生じてしまった。さらに、群衆の中には政府機関からの潜入者がいた。彼らがレインドロップのように、たとえ行動が控えめだったとしても、現場の混乱と洪水を悪化させたと主張している。

ポープ氏は、政府は情報を隠し、意図的にセキュリティを弱めることで洪水が起こり得る状況を作り出したと指摘している。「彼らは自らのエージェントや情報提供者(レインドロップのような存在)を大勢で送り込み、特に最初に侵入された地点での行動が、場を水浸しにした」と述べている。

同氏は、FBI、議会警察、メトロポリタン警察、国土安全保障省、そして国防省の失策が1月6日に起こった事態を招いたと語った。

つづく

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大紀元記者。2021年1月6日の連邦議事堂侵入事件とその後の影響、およびウィスコンシン州のニュース全般を中心に担当している。2022年には、1月6日の事件に関する大紀元の特別調査報道『あの日、米議会議事堂で何が起こったのか(The Real Story of Jan.6)』の制作に携わった。40年近くジャーナリストとして活躍している。