イエレン米財務長官 中国に「過剰生産停止を」

2024/04/09
更新: 2024/04/08

アメリカのジャネット・イエレン財務長官は、2024年4月5日と6日に中国共産党何立峰副首相と数回にわたって会談を行い、3つの主要なテーマに焦点を当てて議論した。

イエレン長官は6日、中国側とバランスの取れた経済成長に関する対話を始めることで一致し、これはアメリカが中国の製造業の過剰な生産能力に関して抱える懸念を解消することを意図している。

会談後の発表で、イエレン長官はこれらの対話が「マクロ経済のアンバランスに関する討議を深め、それが過剰な生産能力とどう関連しているのかを探る」と述べた。

また、彼女はこの機会を活かして、アメリカの労働者と企業が公正な競争を行えるよう、中国に働きかける意向を示した。

さらに、イエレン長官は何立峰副首相と共に、両国の金融システムにおけるマネーロンダリング対策を強化するためのフォーラム設立にも合意したことを明らかにした。

米中経済対話 過剰生産能力の問題解決へ

イエレン長官と何立峰副首相、そして両者のチームは6日に、4時間半以上にわたり一連のテーマについての詳細な会議を実施した。

長官が最近行った中国訪問の主要な目的は、中国共産党の官僚たちに対して、電気自動車(EV)、太陽光パネル、その他のクリーンエネルギー技術の分野での生産過剰の問題を管理するようにとの説得活動である。この問題は、アメリカや他の国々の競合する企業にとっての脅威となっている。

長官は中国の生産能力が国内の需要をはるかに超え、さらには世界市場が処理できる量をも上回っていると述べた。

また、イエレン長官は自らと中国側の代表者が、生産の過剰問題について2時間以上も深く議論したことを公表した。

「私が特に懸念しているのは、中国共産党の支援を受けた産業の中で工業生産能力が過剰となっており、それがアメリカの経済に悪影響を及ぼす可能性がある点だ。実際、先週私が訪れたジョージア州の太陽光発電会社Sunivaは、中国製品の低価格かつ大量輸出による競争に敗れ、過去に廃業に迫られた経験がある」とイエレン長官は述べ、中国側に中国の生産能力の過剰がアメリカにとって深刻な問題であることを明確に伝えた。

「これは米中関係の発展だけでなく、中国と他の主要国との関係にとっても非常に重要なことだ」

「何よりも、このような状況が繰り返されないようにすることが大切である。私たちの同盟国やパートナー国も同様の懸念を抱えており、自国の労働者や企業が直面する潜在的なリスクを理解している。生産能力の過剰を招く政策を見直すことは、アメリカ、中国、そして世界経済にとってメリットがあると私は確信している」とイエレン長官は強調した。

中国共産党の公式メディアは、イエレン長官が述べた中国の生産能力の過剰についてのコメントを否定し、それをアメリカの保護主義的な政策を正当化する口実だと批判した。

新華社は6日、何副首相とイエレン長官の会談に関する声明を出した。その中で、中国はアメリカによる対中経済貿易の制限措置に対して強い懸念を表明し、生産能力に関する問題についてもしっかりと説明したと伝えている。

中国共産党のアメリカ企業に対する不公平な扱い

生産能力の過剰問題に加えて、イエレン長官が今回の中国訪問で目指したもう一つの目的は、中国共産党による米国企業への不公平な扱いの改善を求めることである。

5日、広州でのスピーチでイエレン長官は、「中国共産党は外国企業に対して市場参入の障壁を設け、特にアメリカ企業に対しては脅迫に近い行為を行い、不公平な経済活動をしている。これらの問題を今週の会談で話し合うつもりだ」と述べた。

何副首相はイエレン長官との会談前に、「中国は企業がより活動しやすい環境を作りたいと考えている」との意向を示した。

中国共産党は一貫して約束をしているが、それを実際の行動に移すことはない。

欧州連合商工会議所のイェンス・エスケルンド代表は昨年の8月に、中国で事業を行う外資系企業が約束された内容に対して疲弊していると述べ、中国共産党に警鐘を鳴らした。

イエレン長官は、中国における外資系企業のビジネス環境の悪化に対してアメリカが懸念を持っていること、そしてこれらの企業が不公平な扱いを受けているとの見解を示した。さらに、中国共産党に対して経済改革を進めるよう強く促している。

中国企業のロシア支援への警告と国際的影響

イエレン財務長官は何立峰副首相との会談において、中国企業がロシアのウクライナ侵攻に物質的な支援を提供すること、特に国防産業に対する支援は絶対に行ってはならないと強く主張した。

そのような支援を行った場合、重大な結果が生じると警告している。これは、アメリカが北京に向けて発したメッセージの中でも特に強いものの一つである。

「フィナンシャル・タイムズ」の報道によれば、アントニー・ブリンケン米国務長官は、欧州連合とNATOの外務大臣たちに対し、中国がロシアへ「懸念すべき規模」で支援を提供し、技術や専門知識を供与していると伝えたと、情報筋が伝えている

ブリンケン長官は、中国共産党の支援がロシアの光学機器や推進器の生産、さらには宇宙分野に特化しており、「これがロシアのウクライナ侵攻をさらに助長し、他国に対する脅威にもなっている」と述べたとされている。

また、ブリンケン長官は3日と4日に行われたNATOの外相会議で、中国共産党の行動について懸念を示したと、ある情報通が明らかにした。

西側諸国は、ロシアの経済を衰退させ、軍事物資の調達を困難にし、2年以上続くウクライナ戦争を終結させることを目的として、多数の制裁や貿易禁止措置を施行している。

張婷