神韻芸術団への相次ぐ嫌がらせ 中国共産党に不都合な伝統美

2024/04/02
更新: 2024/04/02

米ニューヨーク発世界最高峰の中国古典舞踊と音楽の芸術団・神韻芸術団が現在、世界規模で巡回ツアーを行っており、世界各地の名だたる劇場で公演を行い、大きな反響を呼んでいる。神韻公演は高度な舞踊のみならず、共産主義以前の中国における伝統美を復興させる使命を担っている。

こうした中、神韻芸術団中国共産党(中共)からの脅迫や嫌がらせに直面している。

本記事では、なぜ、中共は神韻に対し脅迫や嫌がらせを行うのか。そして、神韻公演が観客から熱烈な反響を呼んでいる理由とは何なのかについて迫る。

伝統美への恐怖、共産党が卑劣に嫌がらせ

大紀元の報道で、最近神韻に対する相次ぐ脅迫と嫌がらせが詳細に取り上げられている。神韻は複数の脅迫状を受け取っている。「ニューヨーク州北部の神韻本部に多数の爆弾を設置した。5800万ドルを支払わなければ爆発させる」「神韻の公演が行われる劇場に爆弾を仕掛けた」との脅迫文が送られてきた。この件について、米警察が捜査に乗り出している。

他にも、神韻芸術団のツアーバスのタイヤが刃物で切られる事件があった。早期に発見されたため、大事には至らなかった。

独立系テレビプロデューサーの李軍氏は、新唐人テレビの番組『菁英論壇』で、中共による神韻芸術団への妨害が続発しており、政治家やビジネスリーダーらに神韻を誹謗中傷する電子メールを送り、公演を鑑賞しないよう脅迫していたと述べた。しかし、中共の意図とは反対に、米国人の神韻への関心を高め、公演を観た人々から絶賛の声が相次いだ。

中共側の嫌がらせや中傷が増加することに反比例して、観客数も増加した。常套手段が通用しなくなると、中共側は劇場マネージャーの買収を図ったが、失敗に終わっている。

李軍氏によると、中共がこれらの卑劣な手段に莫大な資金と人材を投じるのは、神韻への恐れが根底にあるからである。神韻は共産主義以前の中国の伝統文化と美徳を表現しており、多くの反響を呼んでいる。また、公演を鑑賞した中国人も、共産党が否定している真の中国文化を認識した。

『菁英論壇』で大紀元時報の総編集長・郭君氏は、中共が仕掛ける過剰な暴力や脅迫といった手段は、目に余るものがあると指摘。香港大紀元も記者への襲撃や印刷所の破壊による被害を受けている。

上記のような事件が起こる背後には、主に二つの理由がある。

一つは、中共が国家安全を脅かされていると主張しているが、国家安全に影響を及ぼすということではなく、中共にとって不都合が生じているためである。二つ目は、中共上層部を激怒させたことである。中共は、暴力団やマフィアと協力し、卑劣な手段に出る。

神韻の公演は過去10年以上にわたり著しい成功を収め、賞賛の声は広がる一方だ。神韻公演は、主に中共政権以前の中国の伝統文化を表現し、共産党による臓器収奪や人権迫害を暴く内容も含んでいるため、中共から「大きな脅威」と見なされている。

毛沢東が展開した政治運動である文化大革命において、中共は中国の伝統文化を覆し、「闘争哲学」や拝金主義などの共産党独自の文化が横行した。しかし、神韻芸術団が国際社会に中国の伝統美を表現していることは、共産党の意図とは相反している。

欧州で神韻公演を行った際、鑑賞した芸術家からは、公演を通じてマルコ・ポーロの記述した中国、彼らが憧れた古の中国を目の当たりにしたという声があった。

神韻は、共産主義以前の中国の伝統文化を世界に表し、中共が中華民族に与えた損害と苦痛を明るみに出した。神韻公演の成功が共産党を震え上がらせるのは、その影響力の大きさにほかならない。神韻が輝かなければ、共産党もここまで恐れることはなかっただろう。

エスカレートする中共の暴挙

『菁英論壇』に登壇したカナダ在住の中国民主活動家・盛雪氏は、中共が現在、敗北の前兆に怯えていると指摘した。

盛雪氏自身、長年にわたる共産党の圧力を身をもって体験してきた。1989年の民主化運動に参加し、中国を脱出してカナダに渡航。現在も民主化運動に参加している。その後、不適切な画像が送られたり、トロントのチャイナタウンの公衆トイレに名前が書かれたりするなど、頻繁に中共側からの侮辱や脅迫、誹謗中傷、嫌がらせを受けてきた。

盛雪氏を誹謗中傷した7〜800ページに及ぶ記事と書籍3冊が出版されたり、カナダの主要都市や米東海岸の都市でインターネット広告を使って盛雪氏の電話番号がさらされたりすることもあった。

盛雪氏への嫌がらせは、カナダの国会議事堂前で5か月間にわたり活動していた人物によってエスカレートしていった。この人物は、出入りする議員らに向けて、盛雪氏を中国のスパイであると断言するチラシを配布し、盛雪氏の写真を市内の至るところ、国会議事堂の近くの通りの電柱に貼り付けた。

盛雪氏が警察に相談した後、この人物は警察署で短時間尋問を受けたが、「忙しい」と言い残し、10分で去った。その後、彼はオンタリオ州最高裁に訴訟を提起し、盛雪氏を殺人犯として非難し、1千万カナダドルの賠償を求めた。また、盛雪氏の家族全員を脱退不可能なオンラインチャットグループに強制的に加入させた。これらの行為は、共産党の関与が強く疑われる。

盛雪氏は次のように語っている。「海外で活動する中共の批判者や自由主義の知識人は、中共にとって頭痛の種である。彼らを封じ込めるため、中共は様々な手を尽くすだろう。この過程で、私は感慨深く思う。1989年にカナダへ来た際、民主化運動は非常に活気に満ち、多くの組織や人々がいた。例えば、「民主中国陣線」は数千人を擁する中国民主化運動組織であった」

しかし、現在明らかにメンバーが減り、脱退する人が増えていった。中共が一人ひとりのメンバーに対し個人的に策略を仕掛けている。最初は脅迫、それが通じなければ賄賂、それでもダメなら家族を脅す。このような策略の中で、中共は様々な卑劣な手段を駆使し、買収の手法も絶えず一新され、時には極秘裏に行われる。

例えば、盛雪氏はある人物から「あなたの特定分野における洞察力に感銘を受けました。研究の才能豊かなあなたと、中国戦略研究で協力したい」とのメールが届いた。初めは魅力的に思えたが、やり取りを重ねるうちに、中共の批判者を札束で頬を張るという戦略に気づいたという。

盛雪氏の指摘によると、中共は現在、厳しい局面に立たされている。経済の低迷、国際関係の緊張、そして多くの国が中共との政治的・経済的関係を見直し、貿易量の減少に至っている。

「小人は窮地において暴走」

前出の郭君氏は、共産党政権下では日常生活の全てが政治問題に結び付けられると指摘。文化大革命の期間、公然と「反革命分子」の衣服を切り裂き、髪を刈り取るという狂気が存在していた。

上記の狂気は、現在の中国に再来し、店舗の破壊や外国製品の排斥といった行為は文革期の様相と重なる。郭君氏はこのことは中共が抱く恐怖心の表れであるとの見方を示した。

郭君氏は、恐怖は心の乱れから生じる心理的、精神的な疾患だとし、外に恐怖の種があるわけではなく、内なる不安が全ての原因であると述べた。この病に冒されると、あらゆるものが極度に恐怖を感じる対象となる。

中共は、権力の正当性および合法性を巡る問題を根本から解決できずにいる。この不安が恐怖症に転じ、あらゆるものを脅威と捉えるようになった。近年、この問題は一層深刻なものとなっている。

『論語』に「君子固より窮す。小人窮すれば斯に濫る。(君子は窮しても平静な自分を守る。小人は窮すれば自暴自棄となる)」という言葉がある。中共は小人を反映していると言える。